NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン2 第2節2025年12月20日(土)14:30 東平尾公園…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第2節
2025年12月20日(土)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)

九州電力キューデンヴォルテクス vs 清水建設江東ブルーシャークス

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)


特別な思いで2試合続けての先発出場に臨む、九州電力キューデンヴォルテクスの松下彰吾選手

実に1,044日ぶり。松下彰吾は格別の瞬間をかみ締めた。

開幕戦を勝利で飾った九州電力キューデンヴォルテクスだったが、この試合で先発した松下にとってこの勝利は特別なものだった。

「スタメンで出て10番としての責任はあると思っていたので、勝利できてすごくうれしかったです。ホッとしたというのが正直な気持ちでした。特にここ数年はあまり試合に出ることができておらず、外から試合を見てチームの勝利を喜んでいたのですが、グラウンドに立って勝利を感じられたというのはうれしかった」

昨季は1試合の出場に終わり、一昨季も3試合の出場。そのすべてで敗戦しており、自身が出場した試合で勝利するのはほぼ3年ぶりのことだった。特に昨季唯一の出場となった試合では、途中出場からわずか4分後に脳振盪で退くことになり、不甲斐なさを筆頭にさまざまな思いが胸の中に去来した。

「初めて自分の中で『どこまでやるのか』ということに向き合うきっかけになりました」

その時点で34歳。社業も抱えている中で選手としての最終コーナーはすでに曲がっている。頭には、すべての選手が避けてはとおれない2文字が浮かんだ。

それでも松下は新たなシーズンを迎えても変わらず楕円球を追い掛けている。

「純粋にいまが一番、ラグビーが楽しい。自分が入団して5~6年くらいは苦しい時代が続きました。試合をしても負けるし、どれだけやってもなかなか成果も出ないから正直、ラグビーがあまり楽しくなかった。でも、そういったときを経て、昇格してこの舞台(ディビジョン2)でも勝てるようになっている。この環境でラグビーができることが楽しいので続けられています」

ラグビーの楽しさ、選手としていられるいまの環境のありがたみを感じたとき、彼の頭の中でチラついていた2文字は吹き飛んでいった。

「この年齢になってもまだ青春を送れているというか……。学生時代のように、みんなで勝つために一つになる。それをこの年齢になっても味わえていることがうれしいし、そこに身を委ねる感覚がすごく心地いい」

そこに年齢は関係ない。松下はいま青春の真っただ中にいる。

(杉山文宣)