NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン2 第2節2025…
NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第2節
2025年12月20日(土)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 清水建設江東ブルーシャークス
清水建設江東ブルーシャークス(D2)

トンガ代表17キャップ、清水建設江東ブルーシャークスのシオネ・タリトゥイ選手
今季から清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)に新加入したシオネ・タリトゥイ。トンガ代表17キャップを誇り、ブルーズ、クルセイダーズ、モアナ・パシフィカといった、世界最高峰のクラブを渡り歩いてきたフランカーが、ついにリーグワンの舞台に立つ。
キャリアの華やかさとは対照的に、合流初日からその姿勢は一貫して謙虚だった。練習前、練習後、ミーティングの合間──。とにかく周囲に質問し、吸収し続ける。取材時で合流3日目というのに、コーチ陣や選手たちに印象を聞くと、全員が同じ言葉を返した。
「とにかく勉強熱心」
事前に江東BSの映像を見てプレー原則を頭に入れ、合流後は毎日の自主練習で日本人選手をつかまえて動きをすり合わせる。その光景は、経験を積んだプレーヤーというより、ほとんど“新人”のような勤勉さだった。
タリトゥイは言う。
「戦術なども徐々にしっかり理解することができましたし、コーチ陣や選手たちがものすごく助けてくれたおかげで本当にスムーズに過ごすことができました。ようやくスタートメンバーとして出る機会をもらうことができてすごくうれしいですし、非常に楽しみにしています」
そんな謙虚な男に「注目してほしいプレー」を聞くと、表情がガラリと変わった。
「フィジカルですね。もう本当に私自身を見てほしいです。アタック、ディフェンスどちらでもフィジカルのところを注目してください」
控えめな態度の奥に隠れた、強烈な自信。“圧倒的なぶつかる力”を、タリトゥイは間違いなくチームにもたらすだろう。スカウティングに関わった吉廣広征ヘッドコーチ兼マーケティングリーダーも、彼への期待をこのように語る。「人間的にもそうだし、プレーも良いとは事前に聞いていたので、コンディションだけ整えばすぐ出られると思っていました。『九州電力キューデンヴォルテクスのプレースタイルにどうやって勝つか』と考えたときにフィジカルは特に彼の強みなので、絶対メンバーに入ってほしかった」。日ごろの姿勢で信頼を勝ち取り、実力も申し分ない。
最後に将来の夢を尋ねると、迷わずこう語った。
「ラグビー選手になることが一つの夢だったので、いまは、夢が叶っている最中ですが、選手としてのキャリアが終わったらコーチになりたいと思っています。それがどこの国なのかは分かりません。日本でもコーチしてみたいですし、スーパーラグビーでもコーチしてみたいですし、将来的にはトンガ代表のコーチもしたいです。それでラグビーワールドカップに出たいと思います」
勤勉で謙虚で誰よりも真面目。しかし、ひとたびグラウンドに立てば“本物のフィジカル”で試合を動かす。
江東BSのジャージーとともに、シオネ・タリトゥイの新たな1ページが、今節いよいよスタートする。
(奥田明日美)