スポーツを産業としてどう育て、持続可能な成長につなげるか-。スポーツエコシステム推進協議会は18日、都内でカンファレンス…
スポーツを産業としてどう育て、持続可能な成長につなげるか-。スポーツエコシステム推進協議会は18日、都内でカンファレンスを開き、DeNA南場智子オーナー、巨人山口寿一オーナーらが「日本流スポーツエコシステムの構築」をテーマにセッションした。
日本のスポーツ産業が抱える構造的課題で、チーム運営や選手育成といった「現場」に十分な資金が回らない現状がある。南場オーナーは「元DeNAの今永投手が11時間飛行機に乗ったら年俸が10倍に跳ね上がったという話をよくするんですが、MLBとNPBは本当に1ケタ違う」と象徴的な例を出した。日米で競技力やコンテンツとしての価値に大きな差があるわけではないにもかかわらず、ビジネス規模と投資環境の違いが、評価額に決定的な差を生んでいると分析した。
フランスや韓国の先行事例を踏まえた「スポーツ産業振興法(仮称)」の必要性を訴える向きもあるが、南場氏は補助金依存には慎重な姿勢を示した。「産業が立ち上がる初期段階で国が果たす役割はある」とした上で、「甘えるような体質ではいけない」と自走できるシステムの構築を目指していくべきとした。日本では、スポーツを「産業」と捉える意識や、金銭と距離を置く文化が産業化を遅らせてきた面がある。南場氏は「スポーツは国際的価値のあるコンテンツ。例えばアジアシリーズとか、国際的なビジネスの拡大とか波及効果の大きいものを視野に入れて、全体的に盛り上げるという形をとらないと」と提言した。
スポーツの価値を情熱だけで終わらせず、経済的な裏付けを持つ産業へと引き上げられるか。立法を含めた本格的な制度設計が問われている。