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 インターハイでは決勝で桜花学園高校(愛知県)に敗れたものの、チーム史上初の準優勝に輝いた日本航空北海道。これは創部3年目での快挙で、その中心となった3年生は創部初年度から試合に出場してきた選手たちだ。

 エースは180センチのオールラウンダー・庵原有紗で、軽やかな動きからリズム良くシュートを放つなどチームの得点源を担う。その庵原とともにインサイドを支えるのがカマラ ファトゥマタ。高さを生かした得点やリバウンドを基本とし、これまで着実に成長の跡を見せてきた。

 アウトサイドではガードの宇都鈴々奈と中村泉咲がチームをリード。決定力の高い3ポイントシュートが持ち味だが、ディフェンスでも足を止めずに動き回るタフさがある。インターハイ準々決勝で前回覇者の京都精華学園高校(京都府)を破った要因となったガード陣のディフェンスは、今大会でも相手チームにとって要注意といえるだろう。

 夏は優勝まであと一歩と迫ったが、チームは初参戦となった秋の「U18日清食品トップリーグ」では参加8チーム中5位(3勝4敗)に終わった。

「負けた4試合については接戦となった試合もあったので、もう少しやれたかなという気持ちはあります。でも、ウインターカップ本番に向けての課題、オフェンスもディフェンスも(ウインターカップに向けて)磨いていきたいです」と、矢倉直親コーチは言う。

 それでも、約2カ月間にわたって行われる強豪校との試合は、「いろいろなチームと試合ができました。北海道にいるとそういった機会がないので、すごく良かったです」と、チームにとっても選手個々にとっても貴重な経験の場となったよう。

 インターハイ以降は激しくボールにプレッシャーかけるディフェンスと、ボールと人が動くオフェンスに力を入れてきた。腕試しともいえる秋の大会では通用することとしないことも見えた。

 まだまだ進化の途中といえる北の新星は、東京の地で夏以上に上昇気流に乗ることができるか? ウインターカップは過去2大会で1回戦敗退となっているだけに、まずは初戦となる2回戦に全力を注ぎたい。

■KEY PLAYER/PF #6 庵原有紗


「インターハイではフィニッシュで落としてしまう場面があったので、身長をしっかり生かして点を取ること。それと、ディフェンスが寄ってきたときに周りの選手を生かそうと思っていました」

 インターハイで旋風を巻き起こし、その名をそれまで以上に轟かせた庵原は、夏以降の取り組みをこう語った。

 秋には「U18日清食品トップリーグ」に初めて出場。強者たちを相手にしながら1試合平均22.4得点でランキング3位。リバウンドでも1試合平均10.1本で7位にランクインした。

 そうした庵原には激しいマークがつきものとなる。実際、トップリーグの岐阜女子高校(岐阜県)との一戦でも前半は相手ディフェンスの前に思うように攻めることができなかったが、「自分がやりたいことは止められても、その次に何ができるか切り替えるようにしていて、リバウンドやディフェンスを頑張りました」と、献身的なプレーで貢献。最終的に試合には敗れたが、後半には相手の状況を的確に判断しながらシュートを放つ場面も見られた。

「(やりたいプレーを)止められても、ほかの道を見つけて得点にからめるようにしないといけない」と語る庵原は、高校最後の大会に向けても、「本当にラストの大会なので最後までやり切ること。目標の創部3年目でウインターカップ優勝のために、もう一度チームとして成長して、ウインターカップでもっといい姿を見せたいです」と、強い意志を口にした。

文=田島早苗

【動画】日清トップリーグ桜花戦で31得点11リバウンドをマークした庵原有紗