今年のドラフトで西武から3位指名を受けた秋山 俊(仙台育英-中京大)。大学生を代表する左の中距離打者として知られる。 今…

今年のドラフトで西武から3位指名を受けた秋山 俊(仙台育英-中京大)。大学生を代表する左の中距離打者として知られる。

 今シーズンの打撃の成長ぶりは凄まじいものがあった。

 春のリーグ戦では打率.388、4本塁打、15打点の活躍で本塁打王、打点王を獲得。大学選手権では、9打数5安打、1本塁打、3打点、さらに日米大学野球選手権大会では、14打数6安打、打率.556で、首位打者を獲得。リーグ戦、全国大会、国際大会をすべて合わせると、72打数30安打、5本塁打、18打点、打率.417の好成績を残した。

 右投げ左打ちの外野手はライバルも多く、厳しい評価を受けやすいポジションだが、勝負のシーズンで秋山はしっかりと結果を残し、上位指名につなげた。彼のプロ入り後の活躍を予想していきたい。

 まず秋山の打撃の特徴は右、左投手問わず、ヒットを打つことができるバットコントロールの良さと、遠くへ飛ばせる長打力を兼ね備えていることだ。

 余計な力みがなく、両目で投手をしっかりと見据えた構えになっているのが良い。打つ時に窮屈さがない選手は、打てるポイントが広いが、秋山もそのタイプだ。

 その後の動作は実にシンプル。しっかりと右足を上げて、真っすぐ引く。速球投手に対してもトップまで滑らかなスイング軌道でボールを捉えることができている。長打を打った時のメカニズムは中日、阪神で活躍した福留孝介氏を彷彿とさせる。目線の動きも小さく、下半身も綺麗に回転しており、遠くへ飛ばせるツボを持っている。

若手の打者が振り遅れたり、上下動の動きがバラバラになってしまったりして、低打率に陥るケースは多いが、秋山は上下動の動きが小さく、振り遅れが少ないので、プロの投手への順応は早いタイプではないか。

 外野は主にライトで、スローイングは大学生としては一級品。バックホームの返球を見るとダイレクトスロー、ワンバウンドスローが目立つ。しっかりとライナー性のボールを投げることができている。動きを見ると、すぐにセンターを守るのは難しいかもしれないが、ライト、レフトならば通用しそう。基礎をしっかりと抑えているので、1年かけていけば、守備でも高いパフォーマンスを発揮するだろう。

 打撃に修正に時間がかかりそうなクセがなく、順応が早いタイプ。ただ西武の外野陣は一軍争いが熾烈で、まず1年目は二軍がメインでも問題ない。そこで土台を固めていきながら、高い打撃指標を叩き出したい。西武二軍が主戦場になるとイースタンは打率上位が打率.250以上、OPS.600以上となっている。まずはそれを目指したい。

 秋山の打撃スタイルを見ると、将来的には打率.300、10本塁打、OPS.700以上は毎年狙える打者になれるだろう。最終的には首位打者争いに毎年加わる打者になるのが完成形といえそうだ。