国内外の主要ツアーの年内日程がほぼひと段落し、プロゴルフ界はオフシーズンを迎える。スポンサーのイベントに出席したり、す…
国内外の主要ツアーの年内日程がほぼひと段落し、プロゴルフ界はオフシーズンを迎える。スポンサーのイベントに出席したり、すでに来年を見据えてトレーニングを開始していたりと、選手によって過ごし方は異なる。一方で取材する側にとっては、そういった各選手のスケジュールを把握するのも仕事のひとつ。忙しい合間を縫う形で、インタビューなどオフならではの企画取材に協力をお願いするケースも出てくるからだ。
今季米女子ツアーでルーキー優勝を飾った岩井千怜の予定を11月に調べていて気になる点があった。12月14日の国内3ツアー対抗戦「Hitachi 3Tours Championship」のプロアマに出場するという。本戦には国内女子ツアーのメルセデスランキング上位選手6人が選ばれており、リストに名前はない。なぜなのか?まず率直に疑問がわいた。
公開されている日本女子プロゴルフ協会の「JLPGAトーナメント規約・規定集」では、105ページに及ぶ中に「3ツアーズ」について明記した箇所がある。以下は、そのプロアマに関する項目の抜粋。
第4条(プロアマ競技)
1.本大会出場選手及び本規定第1条に定める出場選手の次位より選出されるプロアマのみ出場する選手(以下「プロアマのみ出場選手」という。)はプロアマ競技に出場しなければならない。欠場した場合の罰則はJLPGAが審議の上、決定する。
2.JLPGAは、本大会の特別協賛者が推薦する者若干名を、プロアマ出場選手として選考することができる。
3.プロアマのみ出場選手が、プロアマ競技を欠場し、その欠場理由が正当でないとトーナメント事業部が判断した場合、当該選手に対し50万円以下の罰金を科すことができる。ただし、USLPGAのQT出場により、プロアマ競技に出場できなかった場合は、この限りでない。
4.JLPGAは、プロアマのみ出場選手に対し、プロアマ競技出場料(交通費込)として、報酬50万円(消費税別)を保証する。
5.本大会出場選手及びプロアマのみ出場選手は、本大会に付随する前夜祭に出席しなければならない。
2025年は11月「TOTOジャパンクラシック」終了時点のメルセデスランクが3ツアーズ出場資格の基準だった。同時点で13位にいた岩井千は「出場選手の次位より選出されるプロアマのみ出場する選手」に該当し、出場義務が発生したとみられる。
本戦が各チーム6人と少ないトーナメントの性質上、プロアマにのみ参加する選手を集める必要性は理解できる。スポンサーへの配慮として、ツアーの顔を担う上位選手をそろえるためにプロアマ出場をメルセデスランクで決める事情もあるのだろう。
ただ、改良の余地はないか。2022年から出場権の基準がメルセデスランクに一本化され、海外メジャーで獲得したポイントも加算されるようになった。特にこの2年は4大会で日本人メジャー制覇があり、多くの選手が好成績を連発して上位を席巻。以前は想定しづらかった、米国を主戦場とする国際ツアー登録選手がメルセデスランクでも上位に食い込むケースが続く。個人的には、日本より1カ月以上も早い翌シーズン開幕に備えなければならない米ツアー勢のオフの過密スケジュールに対して配慮があってもいいと感じる。
出場義務は任意の出場に変え、上位から順に可否を確認していくのも一案かもしれない。罰金を支払っての欠場は建設的とは言えず、仮に米ツアー勢がメルセデスランクを“上げないよう”国内へのスポット参戦をためらう事態につながることは誰も望んでいないはず。米ツアー予選会挑戦に伴う欠場を認めている点から、JLPGAも時代に沿ったアップデートを進めていることはうかがえる。だからこそ、日本人プレーヤーの世界的な活躍に対してさらなる後押しを期待したい。(編集部・亀山泰宏)