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NTTジャパンラグビー リーグワン 2025-26
ディビジョン2 第1節
2025年12月13日(土)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 31-14 レッドハリケーンズ大阪

2年越しのリーグワンデビュー。矢印を自らに向けた先にあった、「素晴らしい成長」


プレシーズンで十分な手応えを感じながら自信をもってリーグワンにデビュー、NECグリーンロケッツ東葛の森山雄太選手

後半25分、亀井亮依との入替で森山雄太が投入された。2024年1月のアーリーエントリーから約2年。ようやく巡ってきたリーグワンデビューの舞台だった。

「素直にうれしいですね。昨季、つらい思いをしたぶん、プレータイムは短かったですけど、このグラウンドに立てたことは大きな進歩があったのかなと思いました」

森山はリーグワンで初キャップを刻んだ胸の内を明かした。

彼は今季の活躍が期待される若手の一人。その期待の大きさはグレッグ・クーパー ヘッドコーチの言葉からもうかがえる。

「森山は非常に素晴らしい成長を見せてくれた未来のある選手。われわれのチームには良いルースフォワード(バックロー)の選手がスコッドにいます。彼はその良い選手たちから学んでくれているので、さらなる成長を期待しています」

ただ、この2年間は彼にとって簡単な時期ではなかった。練習では、「プロップに入ってくれ」とフランカーとは異なるポジションを命じられることもあった。状況によっては練習にすら入れないときもあった。

もし森山がここで不貞腐れ、投げ出していたら、いまの彼はなかっただろう。だが森山は「試合に出られないのは自分自身の問題」と自らに矢印を向け、改善を試みる。

「低酸素トレーニングができる施設に通ったんですが、通えば通うほど試合ではまったく疲れないし、すぐに回復するんです。食事でもタンパク質を意識的に多く取り入れて、体重も毎日意識し、体を大きくしました」

さらに物事をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに変換するようにマインドの変化も心がけた。

こうした取り組みの効果はてきめんだった。今季のプレシーズンは、それらがプレーに反映されたのを強く実感した。良いプレーができたという実感が自信にもつながり、それが良いサイクルを生み出して、次の試合ではより良いプレーができる。

今節のレッドハリケーンズ大阪戦はリザーブスタートだったため「プレシーズンの8試合は全部先発で出ていたので、リズムの作り方が分からなくて最初はキツかったんですけど、良い経験になりました」と、今回の15分間というプレータイムの中でも大きな学びを得た。

森山はデビューを喜びはしても、浮かれる様子は一切見せなかった。むしろ「先発でも、リザーブでも、どちらでもいけるように良い準備をします」と早くも次の試合を見据えている。

期待の新鋭が刻んだ第一歩。それは、これから始まる物語の序章にすぎない。

(鈴木潤)

NECグリーンロケッツ東葛


NECグリーンロケッツ東葛のグレッグ・クーパー ヘッドコーチ(左)、亀井亮依バイスキャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
グレッグ・クーパー ヘッドコーチ

「まずは本日、勝利を挙げることができたことを非常にうれしく思っています。レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)は非常にリスペクトしているチームであり、その相手に対してしっかり準備をして臨んだ一戦でした。RH大阪は毎シーズン良いスタートを切る傾向のあるチームですので、われわれとしてはプレッシャーを掛け続け、相手にリードを許さないこと、そしてNECグリーンロケッツ東葛がゲームをコントロールすることにフォーカスして準備を進めてきました。その準備が今日の試合でしっかりと表現できたと思っています。選手たちがハートやキャラクターを見せてくれたことを、非常にうれしく思います」

──80分間をコントロールした良い試合だったと思います。その中で、次節に向けた課題や修正点を挙げるとすれば、どの部分になりますか。

「非常に良い質問をありがとうございます。今日は第1節でしたので、すべてが完璧にいくとは思っていませんでした。修正点を挙げるとすれば、プレッシャーをうまく掛けられていた一方で、そのプレッシャーをときおり手放してしまう場面がありました。コントロールできている状況では、引き続きコントロールし続けることに、あらためてフォーカスしていきたいと思います。プレッシャーをリリースしてしまったことで、RH大阪に流れを渡してしまったシーンがいくつかあったと感じています。ただ、全体的にはアタック、セットピース、コンタクトのいずれも非常によかったと思いますし、特に亀井(亮依)はコンタクトエリアでチームをよく引っ張ってくれました」

NECグリーンロケッツ東葛
亀井亮依バイスキャプテン

「まず、勝利できたことはもちろんですが、開幕戦を迎える前にチームとして譲渡が成立したという報告を受け、選手として良い環境を与えていただいた中で、準備も含めて最高の形で開幕戦を迎えられたことに感謝しています。長いプレシーズンでしたが、譲渡の話が出た中で、クーパーさん(グレッグ・クーパー ヘッドコーチ)から『自分たちがコントロールできることにフォーカスしよう』というメッセージがあり、もう一度立ち上がってスタートしてから約4カ月を過ごしてきました。ラグビーの部分もそうですし、選手同士がコネクションを持ち、互いにサポートし合いながらプレシーズンを過ごすことができました。その結果、開幕戦に向けてよりチームのコネクションを強めた状態で準備ができ、今日の勝利につながったと思います」

──昨季は開幕戦でRH大阪に敗れ、そのあとも不安定な序盤戦となりました。今季、開幕戦で白星スタートを切れたことをどう捉えていますか。

「プレシーズン最後のリコーブラックラムズ東京との練習試合で勝利できたことで、自信を持って開幕戦に臨めたと思います。プレシーズンをとおして、クーパーさんがチームの強みや軸をブレさせることなく示してくれて、それを修正しながら積み上げてきました。その軸を、最後のプレシーズンマッチ、そして開幕戦でもより確立できたことで、チームとして自信を持ち始められたと思います。そういう意味でも、本当に良い結果であり、良い勝利だったと感じています」

レッドハリケーンズ大阪


レッドハリケーンズ大阪の松川功ヘッドコーチ(左)、島田久満バイスキャプテン

レッドハリケーンズ大阪
松川功ヘッドコーチ

「今回の開幕戦にあたり、協会関係者の皆さま、そしてNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)の皆さま、素晴らしい会場を作っていただき、ありがとうございます。バスで会場に入ってきた際に、GR東葛のファンの皆さまから拍手で迎えていただいたことが印象的で、チームとしても非常に温かく迎えていただいたと感じました。お互いに開幕戦ということでプレッシャーもあり、ミスが多く出る試合になりましたが、GR東葛の強いプレッシャーによって、われわれのやりたいことがなかなかできず、ペナルティも増え、得点を取れないまま敗戦してしまいました。後半は修正して自分たちのラグビーが少しできた部分もありましたので、そこを来週以降に向けてさらに修正し、ぶつけていきたいと思います。ありがとうございました」

──昨季は開幕から好スタートを切った一方で、シーズン中盤に失速しました。その反省を踏まえ、今季はどのようなチームづくりを考えていますか。

「理想としては、今回も勝利して右肩上がりのスタートを切ることでしたが、昨季の反省を生かし、選手層の底上げを意識してきました。プレシーズンでは日本人の若い選手に多くのプレータイムを与え、チーム全体の実力は底上げできていると感じています。仮にけが人が出たとしても、戦力が大きく落ちることなくシーズンを戦える体制を作ることが、昨季から学んだ点です。その部分については、しっかり準備ができたと思っています」

レッドハリケーンズ大阪
島田久満キャプテン

「開幕戦の開催にあたり、ご尽力いただいた皆さま、本当にありがとうございます。われわれとしてはこの開幕戦に勝利し、良い流れを作っていきたいという思いがありましたが、GR東葛のプレッシャーやビジターの雰囲気に飲まれてしまいました。特に前半はミスが増え、自分たちの規律を守れず、相手の勢いを受けてしまったことが敗因の一つだと思います。今季は接点の部分をフォーカスして取り組んできましたが、そこで受け身になってしまい、相手に流れを作られてしまいました。次節に向けて、そこをもう一度強化し、精度を高めていきたいと思います。来週は大阪でのホストゲーム開幕戦となりますので、大阪を背負って戦い、敗戦からしっかり学びを得て次の試合につなげたいと思います。本日はありがとうございました」

──今季キャプテンに就任されました。どのようなリーダーシップを発揮してチームをまとめていきたいと考えていますか。

「自分自身、特別にリーダーシップがあるタイプでもなく、プレーが飛び抜けているわけでもありません。だからこそ、自分たちがやるべきことにしっかりフォーカスし、それを誰よりも自分が率先して実行し、周囲を巻き込んでいく。そういったキャプテン像を理想としています。今日はその部分が十分に出せなかったと感じているので、次の試合ではそこからさらに引き上げていきたいと思います」