■シーズン開幕後に加入のFWがチームの強みに【J1昇格プレーオフ 決勝 12月13日 13時05分キックオフ 千葉 1ー…

■シーズン開幕後に加入のFWがチームの強みに

【J1昇格プレーオフ 決勝 12月13日 13時05分キックオフ 千葉 1ー0 徳島 フクダ電子アリーナ】

 勝利には必然がある。幸運や巡りあわせなどに恵まれた勝利もあるが、どんな勝利にも必然的な要素を見つけることはできる。

 12月13日に行なわれたJ1昇格プレーオフ決勝で、ジェフユナイテッド千葉徳島ヴォルティスを1対0で退けた。実に17年ぶりとなるトップカテゴリー復帰を果たした。

 その要因のひとつ目は「チーム編成」である。

 25年シーズンを迎えるにあたって、千葉は得点源のFW小森飛絢がベルギー1部のシントトロイデンへ期限付き移籍した。24年に23ゴールをあげてJ2得点王となった彼の穴は、簡単には埋められない。代わりとなる人材を見つけるのは難しいなかで、J2のロアッソ熊本で24年に2ケタ得点を記録したFW石川大地を獲得した。ブラジル人FWデリキも迎え入れた。いずれも小森の期限付き移籍が発表される前であり、得点源の離脱にあらかじめ備えていたことが分かる。

 25年シーズンは開幕から6連勝を飾るが、その間にさらなる補強へ動いた。J2からJ1へ昇格した清水エスパルスのFWカルリーニョス・ジュニオが、2月14日に清水との契約を継続しないことが発表された。すると、同27日に獲得を発表したのである。

 清水では4-2-3-1の2列目左サイドか、3-4-2-1の2シャドーの一角が定位置だった。それに対して千葉では、2トップの一角が基本ポジションとなった。攻撃のどのポジションにも適応するカルリーニョス・ジュニオは、リーグ戦でチームトップの10得点を記録した。彼がゴールした7試合はすべて勝利した。その得点は勝点に直結したのである。

 J1昇格プレーオフでもRB大宮アルディージャとの準決勝で、0対3からの逆転勝利の口火を切るゴールをゲットした。12月13日に開催された徳島ヴォルティスとの決勝でも、右SB高橋壱晟のピンポイントクロスをヘディングシュートへ結びつけている。この一発が、決勝点となった。ブラジル人アタッカーが見せるクオリティが、千葉のストロングポイントとなったのは間違いない。

■必要なタイミングで必要なポジションの選手を補強

 補強について言えば、2月上旬のGKホセ・スアレスの獲得も大きかった。25年シーズンのレギュラーGKと見込んでいた新加入のGK若原智哉が、プレシーズンに大ケガを負ってしまった。クラブはすぐに、徳島ヴォルティスで実績を積んでいたスペイン人守護神を獲得したのだった。

 スアレスが30節を最後にケガで戦列から離れると、復帰した若原が32節からスタメンに名を連ねた。ふたりのGKによるリレーも、J1昇格を後押ししたと言える。

 6月中旬には、FW森海渡を獲得した。J1の横浜FCで出場機会に恵まれていなかった彼は、23年に徳島で13ゴールを叩き出した実績を持つ。重量感のある大型のポストプレーヤーで、カルリーニョス・ジュニオとの相性もいい。小森がシントトロイデンへの期限付き移籍を終え、6月初旬に浦和レッズへ完全移籍したことで、千葉は新たなストライカーの獲得に動いたのだった。また、MF風間宏矢も同時期にシンガポールのクラブへ移籍していた。森と風間ではタイプが異なるものの、攻撃陣の枚数を確保する意味合いも含んでいただろう。

 森は12試合出場で無得点に終わった。期待どおりの活躍とはならなかったが、「J1昇格のために、できることはする」というフロントの熱意を読み取ることができた。

 サイドアタッカーの田中和樹が負傷した7月には、MFイサカ・ゼインをすぐさま獲得した。22年に横浜FCの一員としてJ1昇格の経験を持ち、J2で実績十分の彼をモンテディオ山形から迎え入れたことで、2列目の選択肢を担保したのだった。

 必要なタイミングで必要なポジションの選手を獲得したことで、シーズンを通して戦力の不足を感じさせなかった。それが、千葉のJ1昇格の裏付けとなったのは間違いない。

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