来年開催されるワールドカップの組み合わせが決まった。日本代表は、オランダ、チュニジア、そしてスウェーデン/デンマーク/…

 来年開催されるワールドカップの組み合わせが決まった。日本代表は、オランダ、チュニジア、そしてスウェーデン/デンマーク/ポーランド/アルバニアの中からプレーオフを勝ち進んだチームと顔を合わせるグループFに入った。また、抽選会が終わったことで他グループの様子、さらに、会場やキックオフの日時も固まった。日本代表が目標である頂点へ勝ち上がるための道筋を、ベテランのサッカージャーナリスト大住良之と後藤健生が徹底的に論じ合った!

■「カネの亡者」や「権力の亡者」ばかり

大住「直接、大会の話じゃないけど、言っておきたいことがある。抽選会ではFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が、アメリカのドナルド・トランプ大統領にFIFA平和賞を渡していたね。賞が創設された時点で分かっていたことだけど、どうしてあれほどおべっかを使っているんだろう。FIFAの会長は数十年前まで、各国元首より上だったよね」

後藤「それは言い過ぎじゃない?」

大住「少なくとも、多くの国では」

後藤「多くの国では、ね。どこかの小さな国とかさ。アメリカ大統領と比べたら、それは言い過ぎでしょ」

大住「軍隊を持っているかいないかだけの違いじゃないの? ほとんどの国で一番人気のスポーツを統括する211の各国サッカー協会を統べているわけだよ? なんでアメリカ大統領のかばん持ちみたいなことをやらないといけないのかな」

後藤「アメリカの大統領とサウジアラビアの皇太子におべっか使って、最低の人物だね。どうしてFIFA会長はカネの亡者や権力の亡者ばかりなの?」

大住「ゼップ・ブラッター(第8代会長)のほうが100倍ましだった、って、みな言っているね」

後藤「そうだよ、ジョアン・アベランジェ(第7代会長)が聖人に見えてくるほどだよね(笑)」

■連続開催で「心配される」選手たち

大住「48チーム参加の大会にしたことにも、本当にFIFAは堕ちたなという感じがする」

後藤「クラブ・ワールドカップだってそうだよ。今回のワールドカップと2年連続開催にして、選手に暑いところで何十試合もやらせてさ。何を考えているんだよ」

大住「本当に、そうだよね。休みを与えずに」

後藤「今年のクラブ・ワールドカップと来年のワールドカップの両方に出る選手は、どうなっちゃうんだろう」

大住「ほとんどの選手がそうなるんじゃないの? 抽選会自体も、何でこんなに洗練されていないんだろう、という感じがあったよね」

後藤「そうそう、アメリカでやるんだから、もうちょっとエンターテインメントとして面白いのかなと思ったけどね」

大住「全然ダメだったね」

後藤「全体の進行もよく分からないし」

大住「インファンティーノは舞い上がっていたけど、メキシコとカナダの首相がイヤイヤ来ているのが丸見えだった」

後藤「何を言いだすか分からないトランプは、平和賞をもらってご機嫌だったから良かったけど」

大住「FIFAがあのざまでは、これからのサッカーが心配だよね」

後藤「インファンティーノがああいう人間なのはしょうがないけど、それをけん制、批判する人がいないというのは最悪だよね。インファンティーノからカネを流されて、各国協会は喜んでいるんでしょ。お金のない協会なら助かるのは分かるけど、ヨーロッパの協会はもうちょっとちゃんとした人が、これじゃダメだと言わなきゃ」

大住「UEFAは何をやっているんだろうね。自分たちだけでうまいことできているから、知ったことか、という感じなのかな」

後藤「自分たちのカネもうけに一生懸命なんだよ。本当にイヤだよ。そういう意味で、来年のワールドカップに行きたくないような気もするんだよ」

大住「本当にそうだよね。憂鬱な気分になる」

後藤「でも、試合をぶらさげられると、行きたくなっちゃう」

■FIFA公認の「チケット転売」はどうか

大住「今度のワールドカップは、入場料も高くて、チケットのリセール(転売)の仕方がひどいよね」

後藤「あれはひどい。裏のマーケットでチケットが何百万円となるのはしょうがないとしても、FIFAが自らそういうことをやっているんだから」

大住「しかも自分たちは売り手と買い手の双方から手数料15%、合計30%を取るってんだから」

後藤「すでに十分カネもうけしてるんでしょ、って話だよ」

大住「この方式が、アメリカのエンターテインメント業界では当たり前らしいんだよね。それをさ、アメリカで当たり前だからって、世界中から人が来る大会に当てはめちゃいけないよね」

後藤「今回だけじゃなく、4年後もやりそうだし」

大住「これだけでFIFAはいくらもうけるんだろう、って感じだよね。要するに、転売目的で買って、10倍でリセールに出すような人がいればいるほどもうかるんだから」

後藤「そういうやり方に、お墨つきを与えているわけだからね」

大住「これまでのリセールにかかる手数料は、確か正規価格の10%くらいだったんだよね。それを今度は、いくらでもいいとしてしまった。びっくりだよね。そもそもの値段が高いし。本当に、誰のサッカーなの、という感じだよ。今度のワールドカップは、サッカーにおける時代の分かれ目になるかもしれないよね」

後藤「いくらなんでも、これはおかしいと誰でも思うよね」

大住「まず、48チームが出場することがおかしい。アメリカ、カナダ、メキシコの共催と言いつつ、全試合の75%がアメリカでの開催というのもおかしい。2002年に、日本と韓国は32試合ずつを開催した。共同開催と呼ぶこと自体、おかしいよね。しかもFIFAは、皆が楽しみにしているワールドカップ抽選会の場で、あんなトランプへのごますりをして、会場にいる全員が偽善的な笑いを浮かべている」

後藤「悪いことは裏でやってくれよ、って思うよね」

大住「本当にそうだよ」

後藤「昔のアベランジェもブラッターも裏でやっていたのに」

大住「そういう意味で、サッカーは大丈夫かな、と心配になるよね。ま、日本代表がその中で、さわやかなひとつの風となってくれることを願いたいと思います」

後藤「そうか、3位抜けするために、わざと最終戦で負けるなんてことがあってはいけないわけだね」

大住「堂々と1位になって、ラウンド32でブラジルかモロッコを倒して、魅力的なサッカーで勝ち進んでもらいたいね」

左からデルピエロ、カカ、バッジョ、会長、ロナウド、ストイチコフ、カンビアッソ…サッカー界のレジェンドたちがトランプタワーに大集合! 撮影/原悦生(Sony α1使用)

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