【明治安田J1昇格プレーオフ2025 決勝 ジェフユナイテッド千葉vs徳島ヴォルティス 2025年12月13日(土)13…

【明治安田J1昇格プレーオフ2025 決勝 ジェフユナイテッド千葉vs徳島ヴォルティス 2025年12月13日(土)13:08キックオフ フクダ電子アリーナ】撮影/原壮史(Sony α-1使用)

■劣勢の中で17歳を投入

 12月13日、土曜日の午後、J1昇格プレーオフの決勝が行われるフクダ電子アリーナのスタンドは熱気に溢れ、黄色く染まっていた。キックオフ前には、クラブカラーの黄、赤、緑の美しいコレオグラフィーが姿を現した。

 6日前に開催された準決勝のRB大宮アルディージャ戦で0-3から4-3という大逆転劇を演じた千葉(J2リーグ3位)は決勝にも勢いを持ち込んでいた。立ち上がりから徳島ヴォルティス(J2リーグ4位)のゴールに迫る。だが、先制を許せば2点が必要になる徳島が自慢の堅守で跳ね返す。0-0のまま前半は終わった。

 後半になると展開は一変。レギュレーション上、引き分けでは敗退となってしまう徳島が猛攻を仕掛ける。後手に回った千葉は、ハーフウェイラインを越えて相手陣内に入ることすら困難になり、ひたすら我慢の時間が続いた。

 過去5度のプレーオフ敗退という苦い思い出が脳裏をよぎる苦境の中、千葉の小林慶行監督が動く。後半21分、最初の交代カードを切って17歳の姫野誠をピッチへ送り出した。

 大宮戦でJリーグデビューを果たして値千金のゴールを決めたワンダーボーイは、昇格プレーオフにおけるアイコニックな存在。防戦一方となっている状態であえて彼を投入するということは、前へ出ていくアグレッシブさを忘れるな、という明確なメッセージを含んでいた。

■「新しいジェフの歴史が始まります」

 交代と指揮官のメッセージにチームは即座に呼応する。

 後半24分、石川大地のサイドチェンジから右サイドバックの髙橋壱晟がドリブルで前進すると、ゴール前へアーリークロス。FWカルリーニョス・ジュニオがヘッドで合わせる。後半に入ってからチームの初シュートがゴールネットに突き刺さった。

 先制点した千葉は重圧から解き放たれた。徳島が猛攻を続けたものの、千葉がホームの大声援も味方に付けながら攻撃を跳ね返す。そして1-0のままついにタイムアップを迎え、フクアリに歓喜の時が訪れた。

 千葉のJ1復帰は17年ぶり。J2の千葉しか見たことがないサポーターも増えた。復帰の感慨に浸るサポーターと、初めてのJ1に胸躍らせるサポーターとが混ざり合っている試合後のスタンドの光景には16年間という年月の長さが表れていた。

 それは選手も同様だ。2009年の等々力で降格を経験した選手は、今や米倉恒貴しかいない。37歳のチーム最年長選手になった彼は、当時1歳だった姫野と記念写真に収まった。チームを代表してサポーターにメッセージを送った米倉は「新しいジェフの歴史が始まります」と宣言。生まれ変わった猛犬がJ1に帰ってくる。


■試合結果

ジェフユナイテッド千葉 1-0 徳島ヴォルティス

■得点者

69分 カルリーニョス・ジュニオ(千葉)

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