12月9日、プロ野球では現役ドラフトが行われ、12選手が新天地へ移籍することが決まりました。この移籍を機に大きく羽ばたい…
12月9日、プロ野球では現役ドラフトが行われ、12選手が新天地へ移籍することが決まりました。この移籍を機に大きく羽ばたいてもらいたいものですが、特に筆者が高校時代から追いかけてきた“まだこんなものではない”と思う3選手を紹介したいと思います。
センバツ優勝投手からセンス抜群の好打者へ転向した平沼翔太
まず1人目は西武からオリックスに移籍した平沼 翔太外野手です。敦賀気比時代、2年夏(2014年)にエースとして甲子園ベスト4に導く快投を見せました。何より印象に残ったのは、甲子園準決勝で大阪桐蔭に打ち込まれて、逆転負けを喫し、号泣して球場を後にする姿でした。
投球だけではなく、すべての面においてエネルギーの強さを感じる選手でした。ユニフォームの着こなし、立ち居振る舞い含めてスタイリッシュで、華のあるプレーヤーでした。
平沼選手は当時のインタビューで打倒・大阪桐蔭への強い思いを語っていました。また高校生としては珍しくSNSで定期的に自分の思いを発信することがありました。
最上級生となった翌15年の選抜。敦賀気比は順調に勝ち進み、準決勝でついに大阪桐蔭と再戦します。
2回までに10点を先制し、大きな援護をもらった平沼選手はそのまま強力な大阪桐蔭打線を抑え、4安打完封勝利を挙げることができました。
さらに決勝の東海大四(現・東海大札幌)戦では1失点完投勝利を収め、福井県初の優勝を収めました。
当時の平沼選手は非常に実戦的でした。高い制球力で、140キロ台前半の速球、スライダー、カーブなど多彩な変化球を投げ分け、勝利に導く先発型投手でした。
一方で、打者としても滑らかなスイングで広角に打ち分ける打撃技術は秀でたものがあり、ベースランニングにも光るものがありました。
プロ側は「野手・平沼」を評価し、ドラフトでは日本ハムから4位指名。プロ10年を終え、379試合、207安打、3本塁打、11打点を記録しており、しぶとく厳しい世界で生き残っています。
平沼選手のシュアな打撃と内外野を守れるユーティリティぶりは魅力的です。しかし、これまで在籍した日本ハム、西武の2球団では、まだ100試合出場がありません。
キャリアハイの成績を残して、高校時代のような脚光を浴びてほしいと願っています。
やんちゃ坊主に見えて理論派 大爆発を期待したい濱田太貴
![[高校時代の濱田]](https://hb-nippon.sgp1.cdn.digitaloceanspaces.com/article-body/KtB43GCETqYR9w53HHdAtXiBmnZk7y17JSQrIuKr.jpg)
続いてヤクルトから阪神に移籍する濱田 太貴外野手(明豊)。濱田選手の打撃の才能の高さを全国の舞台で発揮したのは2年夏(2017年)です。夏の甲子園で15打数9安打、2本塁打9打点の活躍で、チームのベスト8進出に貢献。成績はもちろんですが、打撃の完成度の高さに驚かされました。安定した構え、トップからインパクトまで無駄のないスイング軌道、綺麗な軸回転。文句無しの打撃フォームをしていました。
そんな濱田選手を見て、『高校野球ドットコム』では18年の高校野球を盛り上げる目玉選手として取り上げることになりました。
実際に話を聞くと、濱田選手は理詰めで打撃に取り組んでいるのが分かりました。取材では逆手のティー、スクワットのティーなど7種類のティーバッティングを紹介し、その目的を分かりやすく解説してくれました。
その後、九州大会や、茨城遠征でも取材する機会がありましたが、どういう意図で打撃をしていたのかを詳しく解説してもらい、ますます期待が大きくなりました。
高校通算45本塁打。ドラフトではヤクルトから4位指名を受けました。ヤクルトでの7年間は255試合で、18本塁打。自己最多は22年の6本塁打で、まだ規定打席に到達していません。現在、プロの世界で二桁本塁打以上を打っている選手と比較しても技術的に劣るところはないと思っていただけに、物足りなさを感じます。
阪神に移籍する来年は正念場です。外野に挑戦するといわれるドラフト1位の立石 正広内野手(創価大)などライバルは多くいますが、濱田選手が持てる力を最大限に発揮すれば、阪神は今年以上に迫力のある打線になると思っています。現役ドラフトで中日に移籍した細川成也選手のようなブレイクを期待したいと思います。
プロ通算3本塁打は信じられない…ロッテ移籍の井上広大は環境を変えて爆発できるか
3人目は阪神からロッテに移籍した井上 広大外野手(履正社)です。ここまでプロ通算3本塁打というのが信じられません。
履正社時代、最後の夏に長打力が爆発。夏の大阪大会では、打率.407、4本塁打、10打点、夏の甲子園では、打率.429、3本塁打、14打点と申し分ない成績で甲子園優勝に貢献しました。
井上選手の良かったことはなぜ打てるのか、しっかりと説明ができたことです。19年夏の甲子園では本塁打を打った場面について、どの球種を張っていたのか、相手投手に対してどういうスイングをしようと思ったのかを理路整然と説明できました。
これまで数多くのドラフト候補を取材してきましたが、ここまで言語化できた選手はなかなかいません。井上選手は19年ドラフトで阪神から2位指名を受け、将来のスラッガー候補として育てられました。
プロ1年目から二軍で9本塁打を記録。トッププロスペクトとして期待される内容でした。しかしなかなか一軍に上がることができず、24年の23試合出場が最多です。
課題は三振数の多さです。井上選手は入団から二軍で6年連続で8本塁打を記録していますが、22年は110試合で150三振、23年は94試合で108三振と非常に多い数字です。スラッガーとして三振が多いのは宿命ともいえますが、新人時代からの課題が克服しきれず、それが二軍定着の要因になりました。
ロッテに移籍したことで、指名打者として出場するチャンスもありますが、新人王・西川 史礁外野手(龍谷大平安)、今季ブレイクの山本大斗外野手(開星)などロッテには期待のスラッガーが多くいます。チャンスはわずかしかないと思います。ただブレイクする選手は、その少ないチャンスを掴んでいます。
上述した細川選手、巨人の田中瑛斗投手など環境が変わったことで水を得た魚のように変わった選手たちも多くいます。今回紹介した3人は、プロ入り前から素質の高さ、意識の高さ、高い技術を評価されていた選手たちです。ぜひ活躍して世代上位の立ち位置まで上り詰めることを期待しています。