西武の是沢涼輔捕手(25)が13日、まだ見ぬ“弟”にメッセージを寄せた。寒波が迫るこの日、朝9時過ぎから本拠地ベルーナド…
西武の是沢涼輔捕手(25)が13日、まだ見ぬ“弟”にメッセージを寄せた。
寒波が迫るこの日、朝9時過ぎから本拠地ベルーナドームでバットを振った。聞こえるのは打球音か野鳥の鳴き声、もしくはミスショットをした時の「うっ!!」ともだえる声のみ。
体感150キロマシン。「あっち(レフト)を狙ってのジャストミートがまだなかなかなくて」。魚雷バットをものにしようと、試行錯誤が続いている。
育成3年目を終え、支配下登録はなし。育成再契約を結び、勝負の4年目へ。強肩やフレーミング能力、投手からの信頼感など、広池球団本部長も「彼みたいなタイプの捕手は絶対に必要」と気にする存在だ。
入団発表で「北極星になりたい」と言った。「北極星は北に位置し続け、多くの旅人たちの指針になってきました」と添えた。高校も大学も控え。それでもプロに。自分も頑張る後輩や子どもたちにとってそういう存在になりたい-。あれから3年。「全然なれてないです」と苦笑いする。
自己評価が割と低めなタイプだ。「まだ誰からも(是沢さんみたいに)なりたいって言われたことないですし」と今度は朗らかに笑う。でも首脳陣もベテランも後輩もチームスタッフも、是沢の努力は球団内の多くが認めてきた。
そんな北極星に“弟”ができる。是沢を見いだした竹下潤スカウト(56)は今秋ドラフトで、育成6位の正木悠馬投手(22=上智大)らを担当した。ほぼ独学で投球を学んできたという異色の右腕だ。正木にとっては寮生活も含め、ほぼ未知の環境となる。
「ウオーミングアップも全体でやったこととかあまりないだろうし、寮生活もそう。そこはちょっと、是沢に預けようかなと」
竹下スカウトはそう私案を口にし、続けた。
「是沢は北極星だし。正木は正木で、ね」
正木は父の仕事の都合で、少年時代に米アラスカ州の離島に住んでいたことがある。目の前にはベーリング海が広がる、北極圏にもギリギリ入る島だ。
北極星と北極圏が、所沢でまさかの出会いを果たし、いわば“北極兄弟”が誕生する。是沢は「いえいえ、僕が何か言うなんて」と謙遜しつつ、プロの先輩としてやはり“弟”に伝えたいことはある。
「育成で入って、最初は『開幕支配下』って思って、でもどこかで『あっ…』ってなると思うんですよ。そこでも『オレはできる!』って勘違いくらいに思ってる方がいいって、3年間やって思いました」
そう願った。
「僕の場合もそもそも勘違いしたからプロ志望届を出して、今ここにいられると思うので」
時計の針が進み、いつの間にかポツポツと増えた自主トレ組。是沢のレフトへの大飛球に「行け!」と皆で盛り上がる。
努力家なのは仲間たちも知っているから、盛り上がる。そういう意味では、やっぱり北極星。サク越えならず、ガク~っと崩れ落ちる北極星。
「ここは練習で評価される世界じゃないので。僕はまだ、そこを生きているんですけど…」
寒ければ寒いほどきらめく北極星。春夏も輝けるよう、寒くても輝く。【金子真仁】