【将来有望な出走馬のなかで抜け出しそうなのは?】 12月14日(日)、阪神競馬場で2歳牝馬によるGⅠ阪神ジュベナイルフィ…

【将来有望な出走馬のなかで抜け出しそうなのは?】

 12月14日(日)、阪神競馬場で2歳牝馬によるGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(芝1600m)が行なわれる。

 今年は重賞勝ち馬の出走はないが、同じ「阪神・芝1600m」の野路菊Sを3馬身半差で圧勝したアランカール、GⅢアルテミスSで2着に入ったミツカネベネラ、白菊賞など2戦2勝のマーゴットラヴミーなど、将来有望な馬が多く、ニュースター誕生が期待される。

 それでは、血統的視点からこのレースを占っていこう。阪神JFには、圧倒的に相性がいい血統がある。ダイワメジャーだ。2015年のメジャーエンブレム、2019年レシステンシア、2023年アスコリピチェーノと3頭の直仔が勝利し、「母の父」としても昨年にアルマヴェローチェ(父ハービンジャー)が勝利している。

 今年はダイワメジャーの直仔はいないが、後継種牡馬であるアドマイヤマーズの産駒が出走予定。それがアルバンヌ(牝2歳、美浦・田中博康厩舎)だ。


前走のサフラン賞を勝利したアルバンヌ

 photo by Sankei Visual

 アドマイヤマーズは現役時代にGⅠ朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)を勝った最優秀2歳牡馬。ダイワメジャーの後継としては最も2歳戦向きの種牡馬と言える。まだ産駒は2世代目だが、すでに初年度産駒からGⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)、GⅠ秋華賞(京都・芝2000m)を勝ったエンブロイダリーを輩出している。父ダイワメジャー同様、仕上がりが早い牝馬を輩出する資質は高いようだ。

 このレースを勝ったダイワメジャー産駒には配合的な共通点があり、3頭とも母系にサドラーズウェルズ、ダンチヒの血を持っている。アルバンヌはダイワメジャー直仔ではないものの、母の父にサドラーズウェルズの孫オーストラリア、祖母の父にダンチヒの孫ディラントーマスを持ち、この共通点に当てはまる。さらに祖母の父にはストームキャット系直仔のジャイアンツコーズウェイと、さらなる名種牡馬も名を見せている好配合馬だ。

 牝系を見ると、1歳上の姉タイセイプランセスはGⅡフローラS(東京・芝2000m)で3着に入っている。そして伯父ペルシアンキングは、GⅠ仏2000ギニー(パリロンシャン・芝1600m)など仏国でマイル~1800mのGⅠを3勝した名馬という一流のファミリーだ。

 アルバンヌの戦歴を振り返ってみよう。6月のデビュー戦(阪神・芝1600m)は、のちにGⅢファンタジーS(京都・芝1400m)を制するフェスティバルヒルに次ぐ2着だったが、続く新潟の未勝利戦(芝1600m)で勝ち上がり。前走のサフラン賞(中山・芝1600m)では好位から鋭く脚を伸ばし、1分33秒8の好タイム、上がり3F33秒7の素晴らしい瞬発力を見せて快勝している。

 今回と同じ距離であり、阪神と同じく直線の坂が急な中山で勝利しているのは心強い。関東馬ながら、新馬戦の舞台に阪神・芝1600mを選んだのは、このレースや来春の桜花賞を見据えてのことだろう。どんな走りを見せてくれるか楽しみだ。

【もう1頭も強力ニックスを持つ2歳牝馬】

 もう1頭はマーゴットラヴミー(牝2歳、栗東・小林真也厩舎)を推す。本馬はアルバンヌ同様、母系にサドラーズウェルズとダンチヒを併せ持つ血統構成。父はフォーエバーヤングらを出すリアルスティールだが、同牝系のリアルスティール産駒にも今年のGⅢ函館記念(函館・芝2000m)を勝ったヴェローチェエラがいる。

 そのヴェローチェエラも、母系にサドラーズウェルズとダンチヒを持つ血統構成になっている。四代母でつながるそれほど近くない間柄だが、これだけ似た血統構成になるということは強力なニックス(組み合わせ)なのだろう。ちなみに、リアルスティール産駒で母系にサドラーズウェルズ、ダンチヒを持つのはGⅡデイリー杯2歳S(京都・芝1600m)を勝った現2歳のアドマイヤクワッズとも共通する。

 マーゴットラヴミーはここまで2戦2勝。新馬戦(京都・芝1400m)では1分20秒2のコースレコード勝ち。さらに前走の白菊賞(京都・芝1600m)は、逃げて3馬身差の完勝。すでに重賞級の力を見せている。新馬戦は2番手から抜け出したが、控えても競馬ができるのは強みだ。

 以上、今年の阪神ジュベナイルフィリーズはアドマイヤマーズ産駒アルバンヌ、リアルスティール産駒マーゴットラヴミーの2頭に期待する。