森唯斗は2023年限りでソフトバンクを戦力外となりDeNAへ ソフトバンク、DeNAでプレーした森唯斗投手は、今季限りで…

森唯斗は2023年限りでソフトバンクを戦力外となりDeNAへ

 ソフトバンク、DeNAでプレーした森唯斗投手は、今季限りで12年間の現役生活に終止符を打った。ソフトバンク時代は4年連続日本一に貢献するなど常勝軍団の一員を担った。DeNAは昨年こそリーグ3位から日本一を成し遂げたが、リーグ優勝は27年もの間遠ざかっている。Full-Countのインタビューでは、両球団に在籍して感じた“違い”、DeNAが優勝するために必要だと思うことを語った。

 2013年ドラフト2位でソフトバンク入りして、1年目からいきなり58試合に登板。7年連続50試合以上に登板し、2023年限りで戦力外になるまで10年間在籍した。その間、Bクラスはわずかに1度。リーグ優勝4度、日本一6度という輝かしい成績を誇る。自身はデニス・サファテの故障離脱を機にクローザーに転向した2018年に37セーブでタイトルを獲得し、日本シリーズでは優秀選手賞に選ばれた。

「ホークス10年いて、やることをやっているからそれは強いよな、という球団ではありました。攝津(正)さんとか松田(宣浩)さんとかすごく意識が高いので、僕ら世代、今宮とかもいましたけど、やらざるを得ない。投内連係とかの意識が違うなというのは正直一番感じました」

 主に2月の春季キャンプなどで入念に行われる投内連係。森はソフトバンク時代、この練習が「本当に入りたくなかった。嫌で嫌で仕方なかった」という。それほどまでに、緊張感のある練習だったからだ。「ストライクを投げなさい、というときに投げられないとノッカーさんがバットを引く。プレーが止まるから気まずい。ミスをしたら、なんでミスをしたのか追求する。すごいプレッシャーでした。でも実際、試合もそうですから。メンタルの部分で、みんなでレベルアップしていけたと思っています」。

「常勝軍団になれると思いますし、そのメンバーがいると思っています」

 そんな環境が“当たり前”なのだから、強さの根幹がしっかりと築かれているのだろう。「ベイスターズの場合はミスがあっても流してしまう。止めて解決するまで話し合ってもいいのかなと。それがプレー中でもいい。春季キャンプとかはそういうプレーが多くなるし、やはりワンプレーワンプレーを大事にしているチームは僕の中では強いイメージがあります」と明かした。

 とはいえ「ベイスターズが悪いとかではないです。それが馴染みやすさであったりするかもしれないし」と、明るい若手が多いチームに苦言を呈しているわけではない。あくまで大事なのはメリハリであり、練習に意味を持って取り組んでいるかということ。「普段はゆるくてもいいけど、チームプレーのときにバシッと入れたら。もったいない部分はある。中には必死にやっている人もいるし、同じ方向を向けば自ずと活気のあるチームプレーができたり、何でミスをしたという議論ができてきたらみんなレベルアップしているということだと思うんです」と力説した。

 DeNAではファーム暮らしも長く、才能ある若手や今後が楽しみな逸材たちの姿も見てきた。だからこそ、強く願う。「全員が全員ではないですけど、一人一人の野球に対しての考えがもうワンランク、ツーランク上がっていけば、常勝軍団になれると思いますし、そのメンバーがいると思っています」。通算127セーブ、106ホールドを誇り、誰からも慕われた森唯斗の言葉には、重みがあった。(町田利衣 / Rie Machida)