「ATPファイナルズ」(11月12日~11月19日/イギリス・ロンドン/室内ハードコート)のシングルス・ラウンドロビン2日目グループ〈ピート・サンプラス〉第1試合は、2年連続出場となった第4シードのドミニク・ティーム(オーストリア)と初出場…

「ATPファイナルズ」(11月12日~11月19日/イギリス・ロンドン/室内ハードコート)のシングルス・ラウンドロビン2日目グループ〈ピート・サンプラス〉第1試合は、2年連続出場となった第4シードのドミニク・ティーム(オーストリア)と初出場で第6シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)が対戦。フルセットにもつれ込む激戦となった試合は、ディミトロフが6-3、5-7、7-5で初陣を飾った。試合時間は2時間21分。

2人の過去の対戦成績はティームが2勝1敗。直近の対戦となる3月の「ムトゥア マドリッド・オープン」ではフルセットでティームが勝利している。ダイナミックな片手バックハンドを武器にする、両者の打ち合いにも注目の試合だった。◇   ◇   ◇

ディミトロフのサーブで始まった第1セット。ティームのリターンが決まりポイント先行となるが、ファーストサーブを丁寧に入れ、落ち着いた試合展開をしたディミトロフがしっかりキープ。盤石なスタートを切った。一方、ティームのサービスゲームとなる第2ゲームでは、ファーストサーブがなかなか入らず精細を欠き、3度デュースにされ苦しみながらのキープとなった。両者は対照的な立ち上がりを見せた。

ディミトロフはゲームを重ねるごとに調子を上げていき、ファーストサーブが決まる確率が85%と高く、有利な展開を見せていた。対するティームは序盤、ファーストサーブが入らず苦しむ中でもサービスエースを決めるなど、第5ゲームまでキープ合戦となっていた。

試合が動いたのは第6ゲーム。ディミトロフが、バックハンドで相手をコートの両端に広く揺さぶり、その間に素早くネットへ詰めてポイントを重ねた。その後、ティームがダブルフォルトをし、ディミトロフのブレークポイントに。ディミトロフのスライス気味の返球に対し、ティームのボールがコート奥にアウトとなり、ディミトロフがブレークに成功する。

その後もディミトロフが丁寧にラリーを展開し、ネットプレーとワイドに揺さぶりを見せた。一方、ティームはファーストサーブが入らず苦しい展開となり、ディミトロフの攻撃にバランスを崩されディミトロフが第1セットを死守した。

第2セットは、落ち着きを取り戻したティームが、第1セットでは決まらずにいたファーストサーブが入り出す。ディミトロフもネットプレーを取り入れ常にチャンスを伺う試合運びをし、両者とも譲らず。ようやくティームの流れになってきた中盤は、第5、第6ゲームで30-0とディミトロフを追い詰めることはできたが、ブレークするまでにはいかず。すると、5-5とタイブレークも見えてきそうな第11ゲーム。ディミトロフが40-30とブレークチャンス。しかし、ティームがフォアのストレートで攻めてデュース、6本目となるサービスエースを決めてアドバンテージを握ると、このままキープすることに成功する。この流れに乗り第12ゲームでティームがブレークに成功し、セットカウントをイーブンに戻した。

最終第3セット第1ゲームはティームのサーブからスタート。ティームは順調にキープ、ディミトロフに対するサービスリターンがよくなり調子が上がってきている様子だった。一方ディミトロフも、失った第2セットの悪い流れを断ち切ろうとする姿勢を見せ、両者とも譲らない展開。

第4ゲームでは第1セットで見せていた、ワイドに振ってネットプレーでポイントを重ねる展開をし始めたディミトロフは、積極的にネットに詰めよりポイントを重ねていく。第5ゲームではラリーをモノにし30-40とポイント先行したが、ティームが連続2本のサービスエースを決めキープする。第6ゲームでは、ファーストサーブのポイント確率が38%まで落ちてしまったディミトロフだったが、耐えながらもネットに出て攻めるいい展開となり、ガッツポーズを見せた。

第7ゲームは、ついにポイント先行させたディミトロフが、ティームがネット際に沈ませたスライスのボールを柔らかく返球してポイントを奪取。ここで大きなブレークとなった。ところが、第10ゲームのディミトロフのサービス・フォー・マッチで、ティームが得意なバックハンドでウィナーを取り、今度はティームが土壇場でブレークに成功し5-5に。

直後の第11ゲーム、バックハンドのリターンがネットを揺らし大声を出して自らを鼓舞したティームだったが、0-30からダブルフォルトを2度出してしまいディミトロフが再びブレークとなった。ディミトロフはそのまま勝ち切り、「ATPファイナルズ」で自身初勝利を挙げた。

試合後のインタビューで、ようやく穏やかな表情になったディミトロフは「初めてのことで緊張したけど、サポートもあり落ち着いてできた。勝つことができてホッとしているし、夢が叶ってうれしいよ」と喜びを語った。さらにスタンドのブルガリア国旗を見つけると「ありがとう!」と応援団にも感謝し、「よいパフォーマンスで勝てたことがとってもうれしい」と笑顔を見せていた。(テニスデイリー編集部)

※写真は「ATPファイナルズ」で初勝利を挙げたディミトロフ。

(Photo by Craig Mercer - CameraSport via Getty Images)