カーリングのミラノ・コルティナ冬季五輪最終予選第7日は11日(日本時間12日)、カナダのケロウナで男子のプレーオフがあ…
カーリングのミラノ・コルティナ冬季五輪最終予選第7日は11日(日本時間12日)、カナダのケロウナで男子のプレーオフがあり、1次リーグ3位のSC軽井沢クラブは同1位の中国に4―9で敗れ、五輪出場を逃した。
日本男子としては、SC軽井沢クラブが代表だった2018年の平昌五輪以来2大会ぶり3度目の五輪出場が懸かっていた。
女子のプレーオフは米国がノルウェーを破り、最後の五輪出場枠をつかんだ。日本代表のフォルティウスはすでに出場権を獲得している。
「あと1勝」が遠かった。五輪出場へ最後の1枠を懸けた中国との一発勝負に敗れ、スキップの山口剛史は涙を止められなかった。「この1勝のために準備してきた。勝ちきれなかったのが悔しい」
中国は10月のパンコンチネンタル選手権で2度退け、今大会の1次リーグ最終戦でも破るなど相性は悪くないはずだった。
ただ、「日本の対策をしてきた」とリザーブの臼井槙吾。過去の対戦から一転、序盤からハウス内に石をためない守備的な戦術を仕掛けてきた相手に攻め手を欠き、終始追いかける展開を強いられた。4―5で迎えた第9エンドに4点を失って5点差に。最終第10エンドを残し、相手の勝利を認める握手を自ら求めた。
2018年平昌五輪に出場したSC軽井沢クラブは山口を一人残してメンバーが去り、解散状態となった。伸びしろのある選手に地道に声をかけ、8年近くかけてつくり上げたのが今のチームだ。
41歳の山口から19歳のセカンド山本遵まで年代も性格も様々だが、目標は一つ。今大会は格下に敗れた1次リーグのフィリピン戦後に約1時間意見をぶつけ合い、崩れかけたチームを立て直した。
教員を辞め、軽井沢に移住して五輪をめざした37歳の小泉聡も山口に誘われた一人で、「もう少し彼に寄り添ってあげられたら」と嗚咽(おえつ)した。敗戦後はリンク脇で2人で手を取り合って悔しさを分かち合った。
直近4年の日本選手権を3度制するなど国内では圧倒的な強さを見せた。だが、世界の壁は高かった。山口は「つらい時期もあったが、良いメンバーと巡りあえた。一緒にここまでできたことを誇りに思う」と声をつまらせた。(ケロウナ=清水優志)