今季1軍ではわずか3試合出場も、2軍でリーグ2位の打率、同3位の盗塁数 現役ドラフトでオリックスから西武に移籍した茶野篤…

今季1軍ではわずか3試合出場も、2軍でリーグ2位の打率、同3位の盗塁数

 現役ドラフトでオリックスから西武に移籍した茶野篤政外野手が12日、埼玉・所沢市内で入団会見に臨んだ。西武は今オフ、DeNAから桑原将志外野手、日本ハムから石井一成内野手をFAで獲得し攻撃面を強化中。26歳の茶野に求めるものとは──。

 西武の編成トップ・広池浩司球団本部長は「走塁、打撃、守備のどれを取ってもレベルが高いのが茶野選手の持ち味」と評し、「出場機会が減った去年くらいから、うちのプロスカウトから『茶野選手がいい』という報告が何度も挙がっていました」と明かす。

 2022年の育成ドラフト4位で四国アイランドリーグplus・徳島からオリックス入り。1年目に早々と支配下登録を勝ち取り、1軍の開幕スタメンもゲット。91試合出場、打率.237(312打数74安打)、1本塁打23打点、7盗塁の成績を残した。

 その後は1軍の出場機会が減り、今季はわずか3試合出場、打率.167(12打数2安打)に終わった。それでも2軍ではウエスタン・リーグ2位の打率.288(351打数101安打)、同3位の28盗塁をマークし、ポテンシャルの高さは示した。

 西武は茶野の性格にも注目していた。広池本部長は「実直で、真っすぐに野球をやっている。2軍の夏の暑い中の試合であっても、とにかく手を抜かない。攻守交代にしても、1つ1つのプレーにしても、最後までやり切る。プロとして当然かもしれませんが、大したものだと思っています」と称賛する。

「うちは今季なかなか点を取れず、勝てませんでしたが、少なくとも『やってやるぜ』という元気、心がファンの皆さんに伝わることがとても大事だと思いました。そういう姿勢を見せられるチームにしたいと思っています。茶野選手はそういうキャラクターなので、期待しています」と付け加えた。

 最近3年の西武は5位、最下位、5位。特に打線が低調で、今季も総得点410、チーム打率.232はいずれもリーグワーストだった。結果的に淡泊な印象の試合が多かった。だからこそ、熱い思いの伝わる選手が必要というわけだ。FAで獲得した桑原も闘志を前面に出すタイプである。

高校時代は控え、大学時代は2部でプレー「上手くなるぞという思い1つで」

「桑原選手の場合は、言葉を含めて表現に(闘志が)出てくる。一方、茶野選手は言葉数の多いタイプではありませんが、ああいうガッツのある選手を加えて、チームの雰囲気を変えていきたい思いはあります」と広池本部長はうなずいた。

 茶野の根性の背景には、“雑草”から這い上がってきた経験がある。岐阜・中京高時代は控えに回ることが多く、名古屋商科大時代は愛知大学野球リーグの2部でプレー。「高校時代は試合に出たり出なかったりで、大学も2部リーグで有名な所ではなかったですが、その中でも『上手くなるぞ』という思い1つで、ここまで頑張ってきました。その思いを変えずに、これからもやっていきたいと思います」と力を込める。四国アイランドリーグplus・徳島に入団する際「この1年だけ、プロを目指して頑張ろう」と決意したことがプロ入りに結びついたという。

 西武でも“生き残り”をかけた外野のポジション争いは激しい。広池本部長は「まず1軍のメンバーに残ることが、彼にとって大事かなと思います」。茶野自身も厳しい立場は承知の上だ。「自分の持っているもの全てをかけて、“1年勝負”で全力を尽くします」と背水の陣を敷く。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)