今週は阪神競馬場で、第77回阪神ジュベナイルフィリーズ(GI、芝1600m)が行われる。前哨戦勝ち馬不在は残念だが、来年…
今週は阪神競馬場で、第77回阪神ジュベナイルフィリーズ(GI、芝1600m)が行われる。前哨戦勝ち馬不在は残念だが、来年のクラシック戦線を見据える素質馬が揃った。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬18頭の全頭診断を行う。
◆【阪神ジュベナイルフィリーズ2025予想/複勝回収率】注目は「差し脚質」と「5枠・6枠」 過去10年データから狙うべき馬券の予想ヒントと好走条件を探る
■阪神ジュベナイルフィリーズ2025 出走予定馬全頭診断
・アランカール
新馬戦、野路菊Sと圧巻のパフォーマンスを披露する馬。騎手、厩舎のバックボーンから今年のダービー馬・クロワデュノールを連想してしまうところだが、本馬の過去2戦はいずれも7頭立て以下かつ、道中は最後方を進んだうえでの勝利だった。阪神芝1600mの本レースは600m通過33~34秒台がデフォルト。未知のペースに戸惑う可能性は否定できず、仮にここを難なくクリアして勝利するようなら来年の牝馬三冠はこの馬で決まりだろう。
・アルバンヌ
デビューから一貫してマイル戦を使われている馬。関東所属ながら新馬戦は阪神芝1600mを使われており、豊富な経験には目を見張るものがある。正直なところあまりインパクトを感じるパフォーマンスとは言えないものの、現時点の完成度を考えると大崩れは考えにくいか。
・アンヘリータス
これまで挙げた2勝はいずれも九州産馬限定。GIの舞台では荷が重い印象は否めない。
・イヌボウノウタゴエ
芝1400mの前走勝ち時計は平凡。厳しい。
・ギャラボーグ
9月の未勝利戦以来のレースがGIとなる馬。常識的に考えれば厳しいが、リーディングトレーナーを独走する杉山晴紀厩舎が選択したローテーションだけに勝算ゼロと捉えるのは早計か。鞍上は2020年以降の2歳GIで【5.1.0.2】馬券内率75%の川田将雅。例年は香港遠征がほとんどの騎手が国内にとどまる点も含め、不気味な雰囲気を漂わせる1頭だ。
・ショウナンカリス
前走ファンタジーSは10人気2着と激走。洋芝での好走も含めてタフな馬場コンディションが合うタイプなのだろう。翻って、開催2週目の阪神芝は少々渋った程度では時計・上がりとも極端にはかからない想定。未知の距離替わりでもあり、克服すべき課題は多く強調材料は乏しい。
・スウィートハピネス
阪神開催の10年において、前走京都芝1600m組は【0.1.0.8】。間隔の詰まったローテーションに苦戦を強いられる馬が目立っている。その臨戦過程に加えて、当時まったく歯が立たなかったマーゴットラヴミーが出走。連続好走へのハードルは高いものとなりそうだ。
・スタニングレディ
馬群を縫うように捌いて勝ち切った前走。レースセンスは非凡なものがある1頭だが、ゴール前の脚は2着馬のほうが目立っていた。初のマイルかつ関西圏でもあり、様子見が妥当か。
・スターアニス
前走中京2歳Sは勝ち馬とタイム差なしの2着。右ムチに反応した際に内ラチまでヨレるシーンがあり、真っ直ぐ走れていれば……と思いたくなるレースだった。右回りに替わる点はプラスと言えるし、近年の本レース勝ち馬には夏競馬の重賞好走馬が多数。産駒の芝重賞勝ちが1600m以上に限定されているドレフォン産駒でもあり、距離はむしろ延びたほうが良いタイプだと思う。
・タイセイボーグ
デビューから馬券外のない安定株。阪神内回り→新潟内回り→新潟外回り→東京マイルと条件不問で大崩れがない点は2歳戦においてプラス材料だ。ラッキーライラックやウインファビュラス、ユーバーレーベンなど本レースは父ステイゴールド系と好相性。再度の好走を警戒したい。
・ヒズマスターピース
芝1600m替わりで連勝中の馬。顔が地面につくのでは……と錯覚してしまうかのような独特なフォームで東京マイルを逃げ切っているのは立派だ。阪神開催の10年において【1.2.0.0】を誇る国枝栄厩舎が送る素質馬。ノーマークにはできない。
・フロムレイブン
4角3番手以内を進んだ馬が上位を占めた前走。2番手を進んだ同馬はその恩恵を得た印象が強く、強調材料は乏しい。
・マーゴットラヴミー
新馬戦、白菊賞と連勝。その内容もレコード勝ちと上がり3F最速の逃げ切り勝利だから決して恵まれたものではないだろう。とはいえ気になるのはローテーションで、阪神開催の10年において前走京都芝1600m組は【0.1.0.8】。スピードが活きる内回りコース→スピードだけでは押し切れない阪神芝1600m替わりで連勝するハードルは高く、押さえ程度が精いっぱいか。
・ミツカネベネラ
本レースと好相性を誇る前走アルテミスS組。当時の勝ち馬が早々にターフを去ってしまった状況は残念だが、相性の良いレースの2着馬だけに何らかの印は必要か。
・メイプルハッピー
控える形で運んだ前走ファンタジーSは7着。ここは何が何でもハナを叩く可能性が高いが、マイルの持ち時計も平凡で強調材料は見出せない。
・ラスティングスノー
連勝中の馬だが、その2戦はいずれも渋った馬場コンディション。仮に渋ったとしても近2走ほど時計・上がりがかかるとは思えない阪神開催だけに、連続好走へのハードルは高いと言わざるを得ない。
・レディーゴール
1勝クラスですら掲示板外に敗れる現状。厳しい。
・ローズカリス
一度使われた芝レースは勝ち馬と1秒以上離される惨敗。厳しい。
Winsightより一部編集・転載(2025年12月11日 18:00公開の記事)
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著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家 競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在は競馬メディア『Winsigh』で予想コラム執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。