カーリングのミラノ・コルティナ冬季五輪最終予選第6日は10日(日本時間11日)、カナダのケロウナで女子のプレーオフ(P…

 カーリングのミラノ・コルティナ冬季五輪最終予選第6日は10日(日本時間11日)、カナダのケロウナで女子のプレーオフ(PO)があり、1次リーグ2位の日本代表フォルティウスは同1位のノルウェーを6―5で破り、五輪出場を決めた。

 日本女子の出場は1998年長野大会で正式種目となって以降、8大会連続。過去2大会はロコ・ソラーレが2018年の平昌五輪で銅メダル、22年の北京五輪で銀メダルに輝いている。

 男子の1次リーグ最終戦は日本のSC軽井沢クラブが中国に9―6で快勝し、通算5勝2敗の3位でPO進出を決めた。米国に敗れた中国と11日の決定戦で最後の五輪切符を争う。

 男女4人制は、各8チームがそれぞれ残る二つの五輪出場枠を争う。

■引退よぎった4年前の挫折、そして再出発

 同点の第10エンド、ノルウェーのラストショットが円心をそれ、日本に決勝の1点が加わる。憧れ続けた五輪切符をつかむと、フォルティウスの選手たちは涙を流しながら氷上で抱き合った。スキップの吉村紗也香は「ずっとこのメンバーで五輪に出たいと思っていた」と声を震わせた。

 2021年9月、北京五輪の代表決定戦でロコ・ソラーレをあと1勝まで追い詰めながら逆転負けを喫した。次世代の育成にかじを切った北海道銀行とのスポンサー契約が終了し、選手たちは所属先を失った。引退がよぎった選手もいる。「カーリングとも離れるのかな、と寂しくなった」とリードの近江谷杏菜。

 次の4年後をめざすか、誰もがすぐには決断できなかった。時間をかけて見つけた答えが、クラブチームとしての再出発だった。

 選手自ら新たなスポンサー探しに奔走。貯金を切り崩しながら、活動資金をクラウドファンディングで募った。困難を乗り越えてきたチームだからこそ、逆境でも前を向く打たれ強さが武器になった。道のりを振り返り、吉村が言う。「それぞれが覚悟を持って臨んできた4年だった。今は、あの時に諦めなくて良かったなって思う」

 長野五輪から続く日本女子の五輪出場のバトンはつながれた。5人が掲げるのは、日本がいまだ成し遂げていない五輪での金メダルだ。自身5度目の挑戦で大舞台にたどり着いた吉村は、「また一段と強くなった姿を見せられるように頑張る」と誓った。(ケロウナ=清水優志)

■男子は五輪懸け一発勝負

 男子のSC軽井沢クラブは、最後の1枠でプレーオフに滑り込んだ。

 勝てば1次リーグ突破が決まる最終戦の相手は、今大会無敗の中国。2―2の第4エンド、相手のミスに乗じて好機をつくると、柳沢の最終投が円心付近の相手の石を二つはじき出した。会心のショットで一挙4点を奪い、ポーカーフェースの24歳は何度も雄たけびを上げた。

 その後は危なげなくリードを守り切った。銅メダルを獲得した10月のパンコンチネンタル選手権で2度退けており、相性の良さを今回も示した。

 「まだチャンスがある。ホッとしている」と柳沢。悲願達成までは、あと1勝。コルティナ行きの切符を懸け、一発勝負の大一番に臨む。