高校野球は九州国際大付(福岡)が初優勝した明治神宮大会で、秋の公式戦が終わった。昨年導入された低反発の金属製バットに、…
高校野球は九州国際大付(福岡)が初優勝した明治神宮大会で、秋の公式戦が終わった。昨年導入された低反発の金属製バットに、鋭いスイングで対応する強打者の活躍が目を引いた。来春の選抜大会でも注目したい選手を紹介する。
■様々なスポーツを経験
九州国際大付(福岡)の牟礼(むれ)翔(2年)は、プレーに華がある選手だ。
身長180センチ、体重85キロのがっちりした体格だが、50メートル6.0秒と足が速い。遠投105メートルの強肩も生かし、広い外野で中堅手を任される。
前チームから不動の1番打者。明治神宮大会では4割近い打率を残し、準々決勝では高校通算24号となるソロアーチをかけた。「会心のあたりではなかった」と言いつつ、神宮球場のバックスクリーンに放り込む豪快な一発だった。
力感のない柔らかいスイングから遠くに打球を飛ばす。日々、素振りを動画で撮ってバットの出し方や角度を研究し、理想の打撃フォームを作り上げた。
ボールを打つ楽しさを知ったのは、小学1年の時だった。
母から「誕生日プレゼントで良いところに連れて行ってあげる」と言われた場所が、ソフトボールの体験会だった。
中学から硬式野球クラブに入ったが、今でもソフトの経験は生きているという。「(投手との距離が)近くて速いので、速い球を打てる」
中学では陸上部に所属し、専門は100メートル。様々なスポーツを経験したことが、抜群の身体能力につながっている。
岡山市出身で「遠くに行きたかった」と、中学の指導者のつながりで九州国際大付に進んだ。「冬のトレーニングで腕が太くなり、胸も大きくなった」と誇る。入学時は細身だったが、毎朝、卵4個をご飯2合にかけて食べ、筋力強化の源にした。
パワーとスピードを兼ね備える17歳。磨けば磨くほど光りそうだ。(室田賢)