中学硬式「関メディベースボール学院」で重視…中1向けキャッチボールドリル キャッチボールをウオーミングアップで済ませるの…

中学硬式「関メディベースボール学院」で重視…中1向けキャッチボールドリル

 キャッチボールをウオーミングアップで済ませるのは、上達の機会を逸している。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「投げ方改善4DAYS」が8日に開催された。講師には全国制覇の経験もある中学硬式野球「関メディベースボール学院」(以下、関メディ)の藤田真悟チーフトレーナーが招かれ、チームに取り入れているキャッチボールのドリルを紹介した。

 今月の月曜日に計4回開催されている「投げ方改善4DAYS」。2回目の講師を務めた藤田さんは、「キャッチボールの誤解」をテーマに正しい投げ方を身に付けるドリルを解説した。関メディでは、中学1年生は秋頃まで試合をせず、今回のイベントで紹介した9つのドリルを徹底して取り組むという。

 9つあるドリルは段階を踏んで、最も効率良く力を伝える投げ方が身に付けられる内容となっている。全てのドリルに目的があり、最初の3つのドリルでは藤田さんが最重要視する「ゼロポジション」を覚える狙いがある。

「投げ方で特に大事なのはトップの位置です。肩をゼロポジションに入れられるか。これがないとダメなんです。腕は振るのではなく、運ばれるもの。運ばれるところにセットしなければ強い球は投げられません。ゼロポジションで投げるというよりも、ゼロポジションにセットしたら、足と体幹が腕を運んでくれる意識です」

 ゼロポジションとは「体と腕の連結が最も安定して、体の力が腕に一番伝わりやすい形」と藤田さんは表現する。リリースの時に肘が前に出るほど、ゼロポジションから遠ざかった投げ方になってしまう。

3段階で習得…ゼロポジションをキープした投げ方

 1つ目のドリルは、投げる方の肘の高さを肩のラインに上げる意識付けをテーマとしている。キャッチボール相手と正対し、体の正面で肘を90度曲げる。そこから腕を真横に開いてトップをつくり、胸郭をひねって投げる。最初からトップの位置を固めるのではなく、肘が肩の高さまで上がっている状態を視覚で確認してからゼロポジションにセットすることが大事だという。

 2つ目のドリルは、1つ目のドリルと動きは変わらない。ただし、最初の構えは、右投げなら左足を前にして足を前後に開く。これにより、骨盤を回旋させて投げる動きが加わる。胸郭のひねりと骨盤の回旋を組み合わせる狙いがある。藤田さんは「腰を回すのではなく、骨盤をひねります」と注意点を挙げる。

 3つ目は、2つ目のドリルに前後の重心移動を加える。踏み出す足の股関節に体重を乗せてから軸足に体重を移して溜めをつくり、再び踏み出す足に体重を移動させながら投げる。この3つのドリルについて、藤田さんは意図を解説する。

「ポイントはゼロポジション。肘を肩の高さまで上げた状態から胸郭を回します。投げる時に肘を前に出してしまうと、せっかくつくったゼロポジションが崩れてしまいます。球を頭の後ろで離すイメージを持ち、ゼロポジションで投げ終わることが重要です」

 ゼロポジションを身に付けないと、9つあるドリルのうち4つ目以降の効果が薄れてしまうという。それだけ、トップの位置やリリースポイントは投げる上で大切になる。「投げ方改善4DAYS」は、今月22日まで毎週月曜日に開催される。クセを改善する方法や球速アップにつながるドリルなどを専門家が紹介する。(間淳 / Jun Aida)