来年開催されるワールドカップの組み合わせが決まった。日本代表は、オランダ、チュニジア、そしてスウェーデン/デンマーク/…
来年開催されるワールドカップの組み合わせが決まった。日本代表は、オランダ、チュニジア、そしてスウェーデン/デンマーク/ポーランド/アルバニアの中からプレーオフを勝ち進んだチームと顔を合わせるグループFに入った。また、抽選会が終わったことで他グループの様子、さらに、会場やキックオフの日時も固まった。日本代表が目標である頂点へ勝ち上がるための道筋を、ベテランのサッカージャーナリスト大住良之と後藤健生が徹底的に論じ合った!
■まだブラジルのほうが「戦いやすい?」
――グループステージまでは暑さも問題とのことでしたが、グループFで2位以上になるとブラジルかモロッコと当たりそうなラウンド32も、かなりきつそうですね。
後藤「きついと思う」
大住「まだブラジルのほうが、日本にとっては戦いやすいかもしれない。もちろん怪物みたいなFWがいて、抑えられそうもない感じは出るかもしれないけど、想定外にはならない。でも、モロッコのサッカーって、おそらく日本のサッカーにとって想像外だよね。前回のカタール大会で見て、強くそう思った。このチームは本当にヘビー級だ、って。ヨーロッパのどのチームも苦戦したもんね」
後藤「次回のワールドカップ開催国だし、力が入っている。この間、U-20ワールドカップでも優勝したでしょ」
大住「そうだよね、盛り上がっているよね」
後藤「U-17ワールドカップでは、日本が勝ったけどね」
――ラウンド32で終わる可能性も…。
後藤「相当高いよね。ここを抜ければ、また先の道が見えてくるかもしれないけど、ここが最大の難関。モロッコと対戦するなら、同じ北アフリカのチュニジアとの第2戦が、いい予行演習になるといいなと思うけど」
大住「勝ち進むなら、1、2位抜けだと西海岸には行かないんだよね。ずっと東と中央で大会が進む。もしも3位抜けになると、本当にどこに行くか分からない。何しろ495通りも組み合わせが考えられるわけだから」
■勝負どころは「いかに力を抜けるか」
――でも、ブラジルかモロッコと当たるより、ましかもしれません。
後藤「僕は、そういう考え方は、けっこうありだと思うな」
大住「確かに、一理あるね。今回、ノックアウトステージは最多で5試合を戦うことになる。中3日くらいで5試合しないといけなくなると、先を考えるチームにとってはラウンド32でいかに力を抜けるかというのが、けっこう勝負どころになるかもしれないんだよね」
後藤「3位抜けだと、その495通りの中で、試合間隔が長くなるスケジュールに当たるかもしれない」
大住「対戦相手としたら、グループを1位で突破しているということは、勝ってきた自信がある。3位チームとの試合でよかった、ターンオーバーして次のラウンドに臨もう、という考え方になると思うんだよね」
後藤「日本が来たら少し警戒が必要だと思うだろうけど、一度そういう緩みが出たチームが気持ちを切り替えるのってけっこう大変だから、気が抜けたまま日本と対戦してくれる可能性はあるよね。そこに賭けるのも悪くない、って気はする。グループ最終戦はまたポーランド(ロシアW杯で対戦)と当たって、またも相手に勝たせて3位で終えるとか(笑)」
大住「ただし、3位抜けになると、もしかしたら急いで移動して、1日挟むだけで試合をしないといけなくなるかもしれない」
後藤「そうそう、だから賭けだよね」
大住「グループFを3位抜けした場合、一番早くラウンド32に臨む可能性があるのは6月29日にボストンで行われるグループEの1位との試合になる。でも、3位抜けが決定するのは、27日に全グループの試合が終わってからになるから、急いで移動しなければいけなくなる」
後藤「じゃあ、先発する選手を何人か先に送り込んでおくか。一番早いのはボストンだけでしょ」
大住「そう、29日に3位が登場するのはボストンだけだね」
後藤「3位抜けするつもりなら、最終戦は捨てることになる。だったら、主力数名はボストンで待機させておけばいい。そんなことをして成功したら、世界的な話題になるだろうね(笑)」
■「不公平すぎる」ワールドカップ
――3位抜けになると、ラウンド32をいつ、どこで、どのチームと戦うか直前まで分かりませんが、準備できないのはお互い様で、グループ1位相手でも勝機が広がりそうにも思います。
後藤「3位抜けって、いろいろなことが起こるよね。1990年のイタリア・ワールドカップでは、いきなりブラジルとアルゼンチン、西ドイツとオランダがラウンド16で対戦することになった」
大住「とにかく、ややこしいんだよね。今回の大会だって、FIFAは当初、48チームを3チームごとのグループに分けようとしていたんだよね。本当にスポーツを知らない人たちだなと思ったよね」
後藤「スポーツよりカネ。どうせだったら64チームにすればよかったんだよ」
大住「そのほうが、日程としては公平になる」
後藤「そうそう」
大住「カタールのワールドカップは、飛行機移動もなかったし、公平だった」
後藤「気候も同じだし、移動距離も同じだし、あんな公平な大会はなかったよね」
――今回は、かなり不公平ですか。
後藤「そりゃあ不公平だよ」
大住「不公平だよねえ。試合間隔が中4日で移動なしのチームと、中3日な上に移動しなければならないチームが対戦するとかさ。ちょっと不公平すぎるよね」