来年開催されるワールドカップの組み合わせが決まった。日本代表は、オランダ、チュニジア、そしてスウェーデン/デンマーク/…
来年開催されるワールドカップの組み合わせが決まった。日本代表は、オランダ、チュニジア、そしてスウェーデン/デンマーク/ポーランド/アルバニアの中からプレーオフを勝ち進んだチームと顔を合わせるグループFに入った。また、抽選会が終わったことで他グループの様子、さらに、会場やキックオフの日時も固まった。日本代表が目標である頂点へ勝ち上がるための道筋を、ベテランのサッカージャーナリスト大住良之と後藤健生が徹底的に論じ合った!
■「移動」に関しては恵まれるも…
――対戦相手以外に、気をつけることはありますか。
大住「ダラスからモンテレイに行って、またダラスに戻ってくる。移動に関しては、このグループは比較的恵まれているかなという感じ」
後藤「その代わり、一番暑いところでやらなきゃいけない。大会期間中に、試合をするのに危険な暑さになる可能性が試算されたらしいんだけど、そのダラスとモンテレイ、ラウンド32で戦うことになるかもしれないヒューストンが、ワースト3に入ったんだって。モンテレイは標高500メートルくらいだけど、暑い。テキサスの2都市は、平地でとにかく暑い。その代わり、屋根がついていて、冷房が設置されている」
大住「モンテレイが一番大変そうだよね。北回帰線に近いから、太陽が真上にある感じで、すごく日差しが強い。試合開始は現地時間22時だけど、かなりの内陸だし、ちょっと厳しいんじゃないかな。後藤さんはモンテレイに行ったことはある?」
後藤「ない」
大住「僕も1986年のメキシコ・ワールドカップのときには、モンテレイだけ行かなかったんだよ」
後藤「モンテレイだけ遠かったからね。当時から散々、暑いと言われていたしね。だからね、このグループFの日程をフラットに見ると、この暑い場所で戦う4チームは決勝まで行くことは不可能だと思いますよ。過去の大会を見ても、ベスト4に残ったのは涼しいところでグループステージを戦ったチームだった。1982年のスペイン大会なんて、典型的な例だと思いますけどね。グループFからは、上には行けないよ」
■試合会場は「冷房」も…練習場は
大住「そこまで言うか」
後藤「僕は絶対にそうだと思う」
大住「スペイン大会の頃からは、コンディショニングの技術も発展しているけどね」
後藤「日本代表はアジア予選での中東対策で散々と対策はやってきた。だから暑熱対策は、一番うまいかもしれない。でも、試合会場は冷房が効いて涼しいかもしれないけど、トレーニング場はそうじゃない」
大住「そうだよね。拠点は2試合行うダラスか、その周辺になるよね」
後藤「暑い中でトレーニングするわけだからね。その辺のコンディショニングをどうするか。暑熱対策では他のチームより優位かもしれないけど、いずれにしても消耗しちゃう。この組のチームが、決勝を含めて8試合戦い抜くなんて、まず無理だよ」
大住「暑熱対策という言葉で、僕らには思い出す人がいるよね」
後藤「日本サッカー協会の技術委員長兼ナショナルチームダイレクター、山本昌邦さん」
大住「日本代表に暑熱対策を初めて持ち込んだ人だからね。今回の抽選会の放送に解説役として出演しているの見て、そういえばこの人は暑熱対策のプロだったって思い出した。古くはメキシコ・オリンピックのときに高地対策をしたけど、今回は不要かな」
■暑さは日本に「有利」!それでも…
後藤「南アフリカ大会初戦のカメルーン戦では、高地対策が効いたけどね。日本はアルプス付近の高地で合宿をしたけど、おそらくカメルーンはそういうことを何もしてこなかった」
大住「会場になったブルームフォンテーンは、ちょっと標高が高かったからね」
後藤「1400メートルくらいかな。日本は高地対策で、圧倒的優位に立った。ジーコ監督の下で戦ったドイツ大会では、初戦のオーストラリア戦で、暑さにもやられて負けたけどね」
大住「あのときは、大会前まで涼しかったのに、急に暑くなったんだよね」
後藤「ちゃんと科学的に対策すれば、暑さは日本に有利に働くと思う。それでも、消耗することは間違いない」
大住「チュニジアは初戦もモンテレイで戦うから、日本を待ち構える格好だね」
後藤「慣れるかもしれないけど、暑いところにずっといたら疲れるのは変わらないよ」
大住「北アフリカの選手は、暑さに強そうだけどなあ」後藤「オランダや、プレーオフで勝ち上がってくる中でもスウェーデン、ウクライナ、ポーランドは、きっと暑さには弱いだろうね」