来年開催されるワールドカップの組み合わせが決まった。日本代表は、オランダ、チュニジア、そしてスウェーデン/デンマーク/…
来年開催されるワールドカップの組み合わせが決まった。日本代表は、オランダ、チュニジア、そしてスウェーデン/デンマーク/ポーランド/アルバニアの中からプレーオフを勝ち進んだチームと顔を合わせるグループFに入った。また、抽選会が終わったことで他グループの様子、さらに、会場やキックオフの日時も固まった。日本代表が目標である頂点へ勝ち上がるための道筋を、ベテランのサッカージャーナリスト大住良之と後藤健生が徹底的に論じ合った!
■予選10試合「無失点」のチュニジア
――大事な第2戦は、現時点で勝利が見える相手でしょうか。
大住「とにかくチュニジア戦では、しっかりと勝点3を取らないといけない。ポット3だから格下だとか、FIFAランキングがどうとか、ヨーロッパでプレーしている選手が何人いるかなんて関係ない。アフリカ予選を1位で勝ち抜いているチームとの試合が、簡単であるはずがない。予選の10試合で無失点なんだから、ものすごく守備力の高いチームという印象だね」
後藤「10試合で無失点ではあるけど、アフリカ予選は1次予選で首位だとそのまま勝ち抜けなので強いチームとはやっていない。ただ、無失点と言うことは真面目なチームなんだろうね。相手が弱くても手を抜いてやられるなんてことがない。北アフリカのチームは、どこも本当に真面目だからね」
大住「2002年のワールドカップで対戦したときには、ちょっとスケールの小さいチームのような気がしたけどね」
後藤「他のアフリカに比べたら、スケール感は小さいよ。サハラ砂漠以南のアフリカとは全然違うし、同じ北アフリカのエジプトやアルジェリアに比べても、小粒な感じは否めない。その代わり、すごく真面目にやってくるだろうなと予想できる」
――油断すると危ないということですね。
大住「もちろんそうだよ。森保一監督がいるから日本代表は油断なんてしないと思うけど、戦い方がまずかったり、チャンスで決め切れなかったりすると、やられるよ」
後藤「ボールは持てて、いつでも入りそうだなという感じになって、そのままズルズルと試合が進んでいくうちにやられちゃう、って感じだね。そんな試合も散々見てきた」
大住「まさにそういう流れでやられた、カタール大会のコスタリカ戦みたいになっちゃいけない、ということだよね」
後藤「そうそう。あのコスタリカ戦という良い教訓があるんだから」
■ロベルト・レバンドフスキとの「再戦」も
――第3戦の相手は決まっていませんが、一番当たるのが嫌なのは、どのチームでしょうか。
大住「ウクライナは勢いがありそうなんだよね。スウェーデンは予選では最下位だったけど、ネーションズリーグの成績でプレーオフに進んだんだよね」
後藤「スウェーデンには大柄な選手がいそうだね」
大住「ポーランドだったら、ロベルト・レバンドフスキが、また出てくるでしょ」
後藤「またか。ロシア大会で当たったときは、最終戦で負けたね」
大住「負けたというか、グループ突破を計算して、勝たせたというか…。とにかく、現在の日本代表は、ヨーロッパのこのレベルのチームとは、しっかり戦えるレベルになっていると思うよ」
後藤「そうそう、完全に互角だよね」
大住「互角というか、プレーの内容では日本のほうが優れているねと言われるようなチームであると思う。だけど、ヨーロッパを戦い抜くチームというのは、勝負強さを持っている。改めてグループFの相手国を見て思うのは、やはり計算ができる相手なんていないということだよ」
■オランダ相手に「フクアリの奇跡」
――グループステージは初戦から気の抜けない試合ばかりということですね。
「もちろん。どこの組でも、そうだと思うよ。昔のようなワールドカップで、3位までが次のラウンドまで進めるなんて言われたら、トップのチームは皆、遊んだだろうね」
後藤「トーナメントに入ってからが本番だ、とか言ってね」
大住「今回も初戦を終えて、そうなるチームも出てくるかもしれない」
後藤「組によっては、これはもう突破は決まりだなというチームもある。オランダが、そう思ってくれるといいんだけどね。前回のドイツとスペインはそう思っていてくれたけど、もう日本を相手にそう思ってくれるチームはないだろうね」
大住「3匹目のドジョウが、10月の味の素スタジアムにいたじゃない」
後藤「あのときのブラジル代表は、全然勝負のことを考えていなかったからだよ」
大住「前回大会では、スペインとドイツには先制させて、ひっくり返した。ブラジルには2点を取らせてから逆転した」
後藤「じゃあ、オランダには3点取らせるか」
大住「実際、先日のJ1昇格プレーオフでは、ジェフユナイテッド千葉が3点ビハインドから逆転したんだから。こういうことがあり得ないわけじゃないということが、証明されたわけだよ」