現役ドラフトが9日に行われ、12人の移籍が決まった。各球団はどんな意図で、選手を指名したのか。指名選手の実力、戦略を探っ…

現役ドラフトが9日に行われ、12人の移籍が決まった。各球団はどんな意図で、選手を指名したのか。指名選手の実力、戦略を探っていきたい。まずはパ・リーグだ。


ロッテ:井上 広大外野手 (前阪神)
戦略:B
指名選手の実力:B

 ロッテは4年連続で野手指名となった。ここまで伸び悩んでいる井上をなんとかしたい思いで指名したのだろう。井上は二軍で高卒1年目から6年連続で8本塁打を記録している。打率面は伸び悩んでいるが、井上の打撃を見れば、潜在能力の高い選手であることは確かだ。山本大斗外野手などを筆頭にロッテには長打力のある右打者が多い。競争を勝ち抜くのは容易ではないが、ロッテの打者陣を底上げする意味でも大きな補強であった。

西武:茶野 篤政外野手(前オリックス)
戦略:B
指名選手の実力:B

 チームに左打ちの外野手が多い中であえて茶野を指名した。茶野は今季二軍で打率.288、21打点、28盗塁を記録。身体能力も非常に高く、強肩で外野守備も秀でたものがある。プロ1年目は一軍で91試合に出場している。

 西武は広池 浩司球団本部長が就任してから補強ポイントだけではなく、チームの競争を促す選手獲得を行っている。茶野はその方針にマッチした選手なのだろう。FAで桑原将志外野手を獲得し、より西武の外野手争いは熾烈になるだろう。

楽天:佐藤 直樹外野手(前ソフトバンク)
戦略:A
指名選手の実力:A

 伸び悩む選手が選ばれる現役ドラフトでは珍しく、キャリアハイの成績を残した佐藤がリストアップされ、楽天が獲得に成功した。104試合、5本塁打、18打点、打率.239、OPS.700、10盗塁と走れて打てる佐藤の加入により、楽天の外野手の層は一気に厚くなった。楽天はドラフト、前田健太投手、伊藤光捕手の獲得とオフシーズンの補強は満点に近いと言えるだろう。

オリックス:平沼 翔太(敦賀気比)前所属球団:西武
戦略:B
指名選手の実力:B

 今季60試合で5盗塁を記録した俊足巧打の平沼を選択した。平沼の特徴としては一塁、二塁、三塁、外野と複数ポジションを守れるユーティリティぶり。多くの一軍出場が見込めそうだ。

日本ハム:菊地 大稀投手(前巨人)
戦略:B
指名選手の実力:A

 日本ハムの喫緊の課題としては、消耗の激しい中継ぎ陣の補強である。菊地は今季の一軍登板が7試合だが、10回を投げ、14奪三振、防御率1.80。通算で見ても75.1回を投げ92奪三振と三振が奪えるリリーバーである。今季はあまり出番がなかったが、三振を奪える能力を全面に発揮できれば、50試合登板を経験した23年のような活躍は期待できる。

ソフトバンク:中村 稔弥投手 (前ロッテ)
戦略:C
指名選手の実力:C

 12球団の中で、もっとも戦力が充実しているソフトバンクにとって、左投手はやや足りないポジションだった。今季の中村は15試合に登板して、防御率3.15だが20回を投げ被安打19とやや打たれ気味。球速的には140キロ台前半で、ソフトバンクの投手陣に割って入るにはよりレベルアップが求められる。

 ソフトバンクがリストアップする選手には毎年驚かされる。大竹耕太郎、水谷瞬、吉田賢吾、そして佐藤直樹と、才能のある選手を次々と送り出しており、現役ドラフトを面白くしている球団として、その貢献度の高さはS級である。