石川祐希のAttack The World vol. 16(連載15;石川祐希が振り返る日本代表の変化と課題 「負けるべ…

石川祐希のAttack The World vol. 16

(連載15;石川祐希が振り返る日本代表の変化と課題 「負けるべくして負けた」世界選手権と、キャプテンとしての来季の役割を語った>>)

 日本代表のキャプテン、石川祐希は世界最高峰のリーグであるイタリア・セリエAで戦っている。現在は練習中に感じた左膝の痛みの影響で、個別トレーニングを行なっているとのことだが、昨季の欧州王者ペルージャでの2年目の目標や、意識していることについて聞いた。


ペルージャで2年目のシーズンを送る石川

 photo by YUTAKA/アフロスポーツ

【個人、チームとしての目標】

――昨季は移籍1年目のシーズンということもあって、以前に話をうかがった際には「前半はペルージャの一員になりきれてない感じがあった」と振り返っていました。今季は、昨季と感覚は違いますか?

「間違いなく違います。1年目と2年目では、気持ちの持ち方が違いますね。2年目で環境に慣れ、監督もチームメイトも大きく変わっていないので、どんな感じかわかったなかで戦えるのは大きいです。コミュニケーションも探り探りでやる必要がないですからね。さまざまなことがわかった状態で自分のプレーができています」

――2年目はチームの中でどんな役割を果たし、どんなシーズンにしていきたいと考えていますか?

「まずは、昨季よりも試合に出る機会を増やしたいと思っています。それと同時に、自分のパフォーマンスがいい時を増やしたい。昨季はよかったり悪かったり、安定感を欠いていたと思うので、今年は常に安定したプレーができるようにしたいです。

 具体的な目標としては、今季は5つの大会があるので、そのすべてで優勝したいですね。でも、そんなに簡単なリーグではないので、その前段階として『どの大会も決勝に進む』ということを達成したいと考えています。個人的には、まだイタリアのリーグで優勝できてないので、リーグで優勝することが目標です」

――昨季は欧州チャンピオンズリーグを制しましたが、イタリア国内では最後に負けています。何がハマったらタイトルに届くと思いますか?

「それは、具体的にはわかりにくい部分ですね。とにかく結果で証明するしかない。監督からは『技術、戦術でトップのチームにならないといけない』と言われています。パワーや高さではなく、うまさやテクニックなどで勝負できるチームにならないといけません。技術や戦術が優れていて、バレーボールがうまいチームを目指して取り組んでいます」

【スタメン出場と、チームの勝利に対する意識】

――試合に出る機会を増やしたいとのことですが、そのためには当然、日々の練習でいい数字を残すことが必要になってくると思います。どのようにしてアピールしていこうと考えていますか?

「ペルージャはバランスがいい選手が多いので、あらゆるプレーの質を平均的に上げなければいけないですね。アタックに関しては昨季からいい数字を残せているので、レセプションやディフェンス、サーブでもう少し数字をよくすることで、もっとスタメンで出られる確率が増えると思っています。

 ただ、昨季は『どうやったらスタメンで出られるか』を考えていましたが、今はあまりそう思っていません。それよりも、試合で勝つためにどうするかというスタンスになっています。そういう点で、レセプションとサーブを大事にしています」

――チームが勝つために、という思考になっているということですね。

「そうですね。今季も昨季と同様、チームはスタメンを固定せずに戦っていく感じになると思います。監督も『誰がスタメンかが大切ではなく、出た時にしっかりとプレーをして、チームにスイッチを入れられるかを大事にしている』と話しています。

『スタメンにこだわらない』と言うと、『試合に出られなくてもいいと考えているのか』と誤解されることもあるでしょうが、勝つことで評価されると考えているということです。チームメイトのプレーはみんな同じようなレベルなので、その時にいい状態の選手が試合に出るもの。なので今季は、出た時にしっかり自分が活躍してチームが勝つことにフォーカスを置いています」

――昨季、スタメンで出たり途中出場したりと、いろいろな立場を経験したことが生かせそうですね。

「それはすごく感じています。昨季は大事な大会、大事な試合で出ることができたので、その経験は間違いなく生かせるでしょう。今季は試合数も増えるので、苦しい展開が増えてくるはず。これからもっと厳しい場面が訪れた時に、どう打開できるかが大事なポイントだと思っています」

――石川選手はあまり気にしていないと思いますが、12月11日で30歳になりますね。コンディション面など、何か心がけていることはあるのでしょうか?

「もちろん、年齢にはとらわれないようにはしていますが、事実として年を重ねれば重ねるほどその影響も出てくるので、気を使わないといけないと思っています。かといって、30歳になるから体が動かなくなってきたかというと、そうではない。試合中の動きの感覚もいいと思います。20代後半と同じような動きやパフォーマンスをいかに出し続けられるかを、30代の目標にしようと思っています。変わらずに、トップを走り続けていきたいですね」

――イタリアでのリーグで考えると、石川選手は今季で11シーズン目になりますね。

「だんだんと結果が出るようになってきたので、それを継続していきたいです。今年は5つの大会で勝ち続けたいし、それに貢献し続ける選手になりたい。簡単なことではないですけど、それが可能なチームにいますし、どんどんトライしていきたい気持ちは変わらないですね」

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