◇米国女子◇Qシリーズ（予選会） ファイナルステージ 最終日（9日）◇マグノリアグローブGC（アラバマ州）◇クロッシン…
◇米国女子◇Qシリーズ（予選会） ファイナルステージ 最終日（9日）◇マグノリアグローブGC（アラバマ州）◇クロッシングズコース（6664yd／パー72）、フォールズコース（6643yd／パー71）
同じ通算5アンダー24位のボーダーライン上でプレーを終えた後続の西村優菜を出迎えて、渋野日向子は涙を流した。雨で開幕が1日遅れ、始まってからも悪天候で5時間超の中断を挟むなど連日の日没サスペンデッド。最終ラウンドを持ち越したこの日も早朝の冷え込みでコースが霜に覆われ、スタートが2時間遅れた。90ホールから短縮された72ホールを6日かけて消化する長く、過酷な戦いを乗り切って「ホントに苦しい一週間。自分で苦しくさせてるような感じではありましたけど、ギリギリで通って良かった」とホッとしたように言った。
前日の最終ホールだった2番（パー3）をボギーで終え、当落線上に後退して迎えた勝負の最終日。コースを離れても食事が満足にのどを通らない緊張感とも闘ってきた身体は、再開した3番ホールのティショットから思うように動いてくれない。左に飛んだ1Wショットは距離も稼げず、2打目を左奥に外して何とかパーを拾った。
「（グリーンに）乗ってくれれば、何とかなる」。アジアシリーズ出場を逃した10月、キャリアで初めて専門家に指導を受けたパッティングの感触が悪くないことがスコアメークのよりどころだった。しかし、獲りたいパー5の4番で4mがカップに蹴られた。5番も2打目のショートアイアンで傾斜地からミスが出て手前のバンカーに落とし、必死でピンチをしのいだ。1W→5Wとつなぎ、3打目のウェッジショットを奥のピンまで突っ込めた6番（パー5）でやっと納得の組み立てからバーディを奪い、トータル「72」にまとめた。
ツアーカードを得るための挑戦だった4年前に対し、年間ポイントレースを104位で終えて臨んだ今回は少し事情が異なってもいた。2025年の出場優先順位に照らし合わせれば101～125位は「カテゴリー16」となり、昨季124位でこの出場資格の“最下位”だったイ・ジョンウン5（韓国）は今季17試合に出場した。予選会25位タイまでの「カテゴリー15」もリシャッフルのクリアがマストであることは同じで、ボーダーラインでの通過なら出場優先順位の数字自体も大きく変わらない。
「やっぱり、アメリカで戦いたい。1個でも出られる試合を増やすために来ました」。その点で上位通過を決められなかった悔しさはあるが、サポートしてくれたチームスタッフ、本来なら足を運んで感謝を伝える“オフシーズン”のチャレンジに理解を示して背中を押してくれたスポンサー、現地応援もいたファンのためにつかみ取るものが必要だと感じていた。
本当の勝負はここから。もっとタフなコースセッティングで、もっとハイレベルなライバルたちと戦って上を目指さなくてはいけない。最終9番は2mの絶好機を作ったが、バーディパットをショートした。「（予選会を通して）自分の弱いところに負けたくないっていう思いが強かった。最後だけ、負けました」。左へのミスを最大限にケアしたスイングも、ブラッシュアップしつつ再現性をさらに高めたい。
何度も悔し泣きした2025年シーズン、最後の最後に違う涙を流せた。「もう二度と（予選会へ）来ないように。落ちるところまで落ちたので、どんどんはい上がっていきます。やっぱり、アメリカで勝つために」。この誓いを、米ツアー5年目の逆襲につなげる。（アラバマ州モビール／亀山泰宏）
