張本は完全アウェーの雰囲気のなかで奮闘した(C)Getty Images 中国・成都で行われたITTF混合団体ワールドカ…

張本は完全アウェーの雰囲気のなかで奮闘した(C)Getty Images
中国・成都で行われたITTF混合団体ワールドカップは、中国が決勝で日本を破って3連覇を達成した。男女の選手が一緒に戦う混合団体は、卓球界では歴史が浅い先進的な試合形式だが、ロサンゼルス五輪2028では、従来の男子団体、女子団体に代わって採用されることが決まっており、今後の卓球界の勢力図を占う重要な大会である。
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この試合形式には、男女混成の他に2つの新しい要素が加えられている。
一つは、5試合のうち3試合までがダブルス(混合ダブルス、男子ダブルス、女子ダブルス)で行われる点。トップレベルの大会でのこうした団体戦は過去に例がないが、一般にシングルスの実力は必ずしもダブルスに反映されないため、番狂わせが起きやすい。
もう一つは、従来のように最大5ゲームまでの試合を5試合やって勝ち数を競う(3勝すれば勝ち)のではなく、3ゲームの試合を5試合行って合計取得ゲーム数を競う(8ゲーム取れば勝ち)点。こちらも、ゲーム数が少ないために番狂わせが起きやすい。
いずれも、観客を意識したスリリングな試合形式と言える。
こうした試合形式ではあるが、中国に次ぐ実力を誇る日本チームは着実に勝利を重ねて見事、決勝に進出。しかし、張本智和が1ゲームを奪うに留まり、中国との差がまだまだ大きいことを再確認させられた形となった。
もっとも、中国は第1試合で世界ランキング1位どうしの王楚欽/孫穎莎が混合ダブルスを組み、続くシングルスには同2位の王曼昱と林詩棟が出場という血も涙もない布陣。試合はここまでで終わったが、その後にも同7位の梁靖崑と同4位の蒯曼が控えていたのだから、そもそも隙などどこにもない。これに対して、日本は男子は5位の張本智和、女子は6位の張本美和が最高であり、敗戦自体は妥当な結果と言える。
それにもかかわらず、実は日本は、2ndステージでもベストメンバーの中国と激突しており、そのときには伊藤美誠が1ゲーム、松島輝空が2ゲーム、世界ランキング20位と28位の戸上隼輔/篠塚大登が、世界ランキング1位と2位の王楚欽/林詩棟から2ゲームを奪って、一時は5-7まで迫った。
第5試合こそ張本美和/大藤沙月が1ゲームを奪われて敗戦となったが、今大会、中国から5ゲームを奪ったのは日本だけであり、その実力の高さと、強化のヒントを示したと言える。
ロサンゼルス五輪までの日本チームの戦略的な強化手腕が問われる。
[文:伊藤条太(卓球コラムニスト)]
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