自重筋トレ「スクワット」。簡単に見えますが、実は奥深いメニュー。正しいフォームで行わないと、腰痛や膝の痛みの原因になるほ…
自重筋トレ「スクワット」。簡単に見えますが、実は奥深いメニュー。正しいフォームで行わないと、腰痛や膝の痛みの原因になるほか、意図しない場所を鍛えてしまいがち。
今回は、スクワットの種類と効果、正しいフォーム、回数のほか、負荷設定など解説していきます。
スクワットのすごい効果とは
大きな筋肉が鍛えられ、効率よく筋力アップできるスクワットはおもに、下半身を鍛えるフリーウエイトトレーニングです。 “筋肉BIG4”と呼ばれる大きな筋肉が鍛えられるため、効率よく筋力アップが狙えます。
筋力が増えると基礎代謝も上がるため、食べても太りにくくなる、日常の消費カロリーが増えるなど、痩せやすい体になり、ダイエットにもうれしい効果が期待できます。

下半身の柔軟性と安定性、足の筋力も身につくため、ランナーにもおすすめの筋トレでもあります。ケガ予防として、運動前の動的ストレッチに取り入れるアスリートも少なくありません。
スクワットで鍛えられる部位
スクワットでは、おもに以下を鍛えることができます。
お尻(大臀筋)太ももの前側(大腿四頭筋)太ももの裏(ハムストリングス)ふくらはぎ(ひふく筋・ヒラメ筋)背中(脊柱起立筋)
スクワットの正しいフォームとやり方
まずは、一般的なスクワット「ノーマルスクワット」から解説します。
ノーマルスクワットのやり方1.足を腰幅に開き、つま先は膝と同じ向きにする

2.お尻を後ろへ突き出すように、股関節から折り曲げる

3.太ももが床と平行になるまで下ろしたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る
肩甲骨を寄せて下げ、自然な背筋を保ちます。膝がつま先よりも前に出ないよう注意!

スクワットは何回やれば効果的? おすすめの回数
毎日、何回もやればいいというわけではないのが、筋トレの奥深さ。スクワットは、目的によって回数や頻度が異なります。
ダイエットが目的の場合8〜12回程度で、限界を迎える負荷設定で行いましょう。
筋力向上が目的の場合3〜7回程度で限界を迎える負荷設定で行いましょう。
トレーニングチューブやダンベル、バーベルなどで負荷を高めて強度調整するのもよいでしょう。
筋持久力をつけたい場合13~20回程度で限界を迎える負荷設定で行いましょう。
下半身が筋肉痛になったらトレーニングはお休みするか、別の部位を鍛えるようにします。
スクワット100回、1か月続けるとどうなる?効果と正しいやり方をトレーナーが解説
「スクワットチャレンジ」など、連続で何十回も行うエクササイズがSNSにアップされることもありますが、膝に負担がかかり、故障の原因にもつながりかねません。
崩れたフォームで何十回も行うより、正しいフォームで15回×3セット行うほうが効果的です。
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スクワットの効果が出ない「ダメなやり方」
NG1 膝がつま先より前に出ている骨盤が後ろに傾いた、猫背状態になっています。スクワット前に肩甲骨まわりをほぐすストレッチをし、頭の後ろに手を添える姿勢で行うと、猫背になりにくいでしょう。

また、太ももの裏(ハムストリングス)やお尻(大殿筋)が硬く、膝や足首などの関節に負担をかける姿勢になっているので、あらかじめ足首・ふくらはぎをほぐしておくとよいでしょう。
初心者のうちは、膝がつま先より前に出ていないか、姿勢が猫背になって崩れていないか、鏡を見ながら確認しましょう。
スクワットの正しいフォームは「膝を出してOK」?最新理論でわかる安全なやり方
膝を意識して折り曲げると、単なる屈伸運動になってしまいます。また、膝に無駄な力が入ると膝を壊す原因にもなります。
必ず「股関節から」を意識しましょう。

よく言われるのが「椅子にお尻をちょこんと乗せるイメージ」です。実際に椅子を後ろに用意し、浅く立ち座りを行うと動作が掴みやすいでしょう。
NG3 つま先が上がる、足元がぐらついて安定しない骨盤が前に傾き、上半身も前に倒れやすい姿勢となっています。
また、足首・ふくらはぎの筋肉が硬いことで、股関節に負担がかかりがちです。足指をほぐしたり、足指を反らしたり曲げたりすることで、ぐらつきも少なくなります。
スクワットの効果が出ない“NG”なやり方【筋トレ初心者あるある】

スクワットの種類とやり方
ワイドスクワット1.足を腰幅より広く開き、つま先は30°程度外向きにする

2.お尻を後ろへ突き出すように、股関節から折り曲げる

3.太ももが床と平行になるまで下ろしたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る。しゃがんだ時にスネが床に対して垂直になるのもポイント

ぐらつく人や骨盤が広い女性は、ワイドスクワットのほうがやりやすいかもしれません。

1.背筋を伸ばして足を前後に大きく開く

2.両膝を曲げながら、腰を落としていく

3.膝を曲げて、地面ギリギリまで腰を落としていく

準備:ベンチや椅子などに後ろ向きで立ち、片足の先を乗せて行います。
1.イスから60~90cm離れ、後ろ向きで立つ。
2.イスに足先か足の甲を乗せ、反対側の脚は前に出す。

3.背筋を伸ばし、ゆっくりと前方の脚を曲げていく。

4.90度まで曲げたら、元の姿勢に戻す。
足の開きが小さいとお尻ではなく太ももの前側に刺激が入り、太くたくましい足に鍛えられます。太ももを細くしたい人は注意しましょう。

1.かかとを少し浮かせて足を肩幅に開き、しゃがむ

2.膝が伸びきるようにジャンプをしながら両手を上げる

3.かかとを少し浮かせて着地する

4.この動作を繰り返します

スクワットの深さにも種類がある
クォータースクワット:膝を45度程度まで曲げてしゃがむハーフスクワット:膝を90度程度まで曲げてしゃがむ。大殿筋メインに効くパラレルスクワット:地面と太ももが平行になるくらいの深さでしゃがむ。もっとも一般的フルスクワット:完全にしゃがみ込む。難易度はもっとも高いさらに負荷をかけて強度を高める方法
自重で行うスクワットは効果が薄いというウワサも耳にしますが、負荷を高めることでさらなる効果が期待できます
ケトルベルやバーベルなどを使用するのもいいですが、ここでは道具いらずのテクニックを紹介します。
セット間の休憩時間を短くするインターバルを10~30秒くらいにしてみましょう。
可動域をできるだけ大きくする可動域を大きく使ってトレーニングを行うことで、筋肉全体に負荷がかかり、力を発揮している時間も長くなるため負荷が高まります。
可動域ストレッチは、スクワットだけでなくどの筋トレにも有効です。
筋トレ効果をもっと高めたいときに。可動域を広げる自重トレーニング3選
番外編! バーベルを使ったスクワットのやり方
バーベルを担ぐスクワットは、バーベルを体の後ろにするバック・スクワットがもっとも一般的です。
しかしその他にも、フロント・スクワットやオーバーヘッド・スクワットなどのバリエーションがあり、それぞれ鍛えやすい部分とトレーニング効果が異なります。
バック・スクワット鍛える箇所(メイン):殿部、ハムストリングス、大腿四頭筋鍛える箇所(サブ):ふくらはぎ、腰、背中扱う重量:もっとも重いバーベルを体の後ろで担ぐスクワットです。さらにバーベルを高い位置(首の根っこ)にするか、やや低い位置(肩の後ろ)にするかで、効かせやすくなる筋肉群は微妙に異なってきます。
ここで紹介しているのは、高い位置のバック・スクワットです。

バック・スクワット(前から見たフォーム)

バック・スクワット(横から見たフォーム)
両手を肩幅よりやや広めにしてバーベルを握り、後はエアー・スクワットと同じ動作を行います。
フロント・スクワット鍛える箇所(メイン):殿部、ハムストリングス、大腿四頭筋鍛える箇所(サブ):ふくらはぎ、腰、背中、上腕二頭筋扱う重量:やや軽いバーベルを体の前方で担ぎます。手のひらを上に向けて、肘をバーベルの前方でなるべく高く上げましょう。この姿勢をフロント・ラックと呼び、肘と手首の角度を固定してスクワットを行います。
肩や手首の柔軟性に欠ける人にとっては、やや難しい動作でしょう。

フロント・スクワット(前から見たフォーム)

フロント・スクワット(横から見たフォーム)
バーベルの持ち方以外の動作はバック・スクワットと同じです。ただし上記の理由から、扱える重量はやや軽くなります。
また、どうしても姿勢が前屈みになりがちなので、そのことを意識することによってフォームの修正に役立つでしょう。
オーバーヘッド・スクワット鍛える箇所(メイン):殿部、ハムストリングス、大腿四頭筋鍛える箇所(サブ):ふくらはぎ、腰、背中、肩、上腕二頭筋、上腕三頭筋扱う重量:もっとも軽いバーベルを広く握り、頭上に固定したままで行うスクワットです。肘を伸ばした状態でロックし、脇の裏を正面に向けましょう。この姿勢をアクティブ・ショルダーと呼びます。
バーベルをこの位置に維持するためには上半身の筋力、バランス、そして柔軟性も重要な要素になります。

オーバーヘッド・スクワット(前から見たフォーム)

オーバーヘッド・スクワット(横から見たフォーム)
<Text&Photo:編集部>