ノリスに対する必死のブロッキングで物議を醸した角田(C)Getty Images胸中を赤裸々に明かす し烈なタイトル争い…

ノリスに対する必死のブロッキングで物議を醸した角田(C)Getty Images

胸中を赤裸々に明かす

 し烈なタイトル争いの中で生じた物議を醸す走りだった。去る12月7日に開催されたF1今季最終戦のアブダビGP決勝において、ランド・ノリス(マクラーレン)と、角田裕毅(レッドブル)が、23周目に展開した激しい攻防だ。

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 レース後に「かなりどうかしていると思う」と振り返った前者が反則ラインギリギリを突破してオーバーテイクに成功。マシンの性能でも劣る後者が敗れる形となったが、クラッシュまで紙一重という状況だったバトルは、かなりのヒートアップを見せた。

 後方から猛追するライバルの突破を、蛇行気味のドライブで食い止めにかかった角田にとってみれば、“必然”のブロッキングだった。この日は、セカンドドライバーとしてマックス・フェルスタッペンの逆転優勝をサポートする至上課題があったからだ。ゆえに総合ランキングで1位に立つノリスの上位進出は何としても防がなくてはいけない局面だった。

 結果的にノリスは総合優勝を飾った。しかも、角田にはスチュワード(審議委員)から5秒のタイムペナルティが課された。この時、オーバーテイクの際にコースアウトしていた王者も審議対象となったが、おとがめはなし。「衝突を避けるためにコースアウトをせざるを得なかった」というジャッジが下った。

 敵陣営から「ユウキの走行は危険で不必要なものだった」(ザック・ブラウンCEO談)と猛反発を受けた角田。では、当人は「不必要」とまで断じられた攻防をどう捉えていたのか。

 現地時間12月8日に英専門メディア『GP Blog』の取材に応じた角田は「ペナルティが適用された理由は何となくわかる。ただ、本当に5秒ペナルティに値するのかどうかは、しっかり見直す必要がある。僕のレースに大きな影響を与えたからね」とした上で、当時の胸中を赤裸々に明かしている。

「チームからは、ずっと無線でフィードバックが入ってきていて、(タイトル争いに関する)ストレスが伝わっていたんだ。だから僕は『やるべきことは分かってる、話した通りにやってやる。できる限りブロックする』と返したんだ。もちろん、彼に簡単に抜かれることにメリットはない。ただ、彼が追い抜くスピードが速すぎたんだ」

緊張感のあるレースが生まれた理由

 全ては、チームから指示の徹底を求められるストレスフルな状況で、やはり自分の“役割”を全うしようとした結果だった。

 さらに角田は、5秒ペナルティを課される原因ともなり、問題視されたストレート上でのブロックについても言及している。

「(最終コーナーまで待つことは)考えはしたよ。もちろんね。ただ、まだ遠くにいた彼との間にはギャップが8、9テンポくらいあって、ラップあたり5テンポぐらいだったから、『あと1周は耐えられそうだな』と思っていたんだ。でも、彼はターン1から5までのラップを完璧にまとめ上げ、僕との差をかなり詰めてきたんだ。とても上手く走ったんだ。だから、たとえ自分が大幅にペースを落としても、おそらく第1コーナーで抜かれていただろうから、差はほとんどなかったはずだよ」

 リスクは理解しながらも、果敢に挑んだ角田。ゆえにノリスが「あと5センチでもずれていたら終わりだった」と振り返るほどの緊張感のあるレースは生まれたと言えよう。

 無念の14位でF1でのラストランを終えた角田。今後はテスト兼リザーブドライバーとして、レッドブルグループのマシン開発に携わる形となる。

 来季にF1で抜擢される可能性が「ゼロ」というわけではない。果たして、「運という言葉はあまり使いたくないけど、今シーズンの後半は本当に運がなかった」と回想する角田にチャンスは巡ってくるだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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