ウインターミーティングで“就活”「将来の夢はGM」 大谷のホームランボールを手放した決断に、後悔はない。MLBのウインタ…

ウインターミーティングで“就活”「将来の夢はGM」

 大谷のホームランボールを手放した決断に、後悔はない。MLBのウインターミーティングが行われているフロリダ州オーランドのホテルにリクルートスーツ姿で訪れていたのは、大学生のエミリー・サバジョさん。卒業後に野球関係の仕事に就くため、“就活”で訪れていた。6月には大谷の日米通算300号のボールを見事にキャッチ。その後オークションに出品し、4万4322ドル(約691万円)を手にしていた。

 エミリーさんはコロラド州在住で、家族で大のロッキーズファン。クアーズフィールド左翼席前列の年間シートを保有しており、これまで800試合以上を観戦。そして6月24日(日本時間25日)に初めて手にしたホームランボールが、大谷の日米通算300号だった。

 当時、記者もボールをゲットしたエミリーさんを取材。「信じられません! 人生で最も楽しかった瞬間の1つでした!」と満面の笑みを見せていた。それから2か月、ボールは競売にかけられ、4万4322ドル(約691万円)で落札された。売りに出したことについてエミリーさんは「どれくらいの価値になりそうなのか知ると、決断は簡単でした。私は大学生ですからね。(お金を得ることで)私と弟の人生が一変する可能性があったので、迷いは一切なかったんです」と“即決”だったことを明かした。

 手に入れたお金は、高校を卒業する弟と将来のために折半するという。「まだお金は手にできていませんが、弟と分け合うつもりです。弟もとても喜んでいます」。

 エミリーさんは大学でソフトボールをプレー。左投げ左打ちの一塁手で、今年はリーグのゴールドグラブ賞も受賞した“名手”でもある。大谷の本塁打はグラブをはめた右手で見事にダイレクト捕球した。

 愛するロッキーズ戦の観戦と部活に打ち込みながら、大学ではスポーツマネジメントを専攻。また、スカウティングやデータ分析を行う企業でインターンとして働いている。ウインターミーティングの会場には球界関係者が多く訪れるため、就活の一環で父とともに訪れていたのだった。「将来は野球界で働きたいんです。そして、いつかはGMになりたいです。野球に携わり続けたい。野球に情熱を注ぎたいんです」と熱く夢を語った。大谷の一打が、将来を切り開く若者の助けとなっている。(上野明洸 / Akihiro Ueno)