今年、彗星の如く現れた韓国代表アン・ヒョンミン(安 賢民・KTウィズ)が、今季韓国の各種野球表彰式で6つの賞を総なめにし…

今年、彗星の如く現れた韓国代表アン・ヒョンミン(安 賢民・KTウィズ)が、今季韓国の各種野球表彰式で6つの賞を総なめにし、ゴールデングラブ賞の有力候補としても名前が挙がっている。わずか1年前まで無名に近かった彼が“劇的な成長ストーリー”の主人公となったことに、韓国メディアが大きく注目している。

 アン・ヒョンミンは今季112試合で打率.334、22本塁打、80打点、OPS1.018をマークし、出塁率1位、打率2位とリーグ上位の成績を残した。国際舞台となったWBC強化試合でも、韓国代表として鮮烈なデビューを飾った。東京ドームで行われた「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025」の2連戦で2試合連続本塁打を放ち、鮮烈な印象を残した。

 しかし、この華やかな成績の裏には意外な成長の背景がある。

 アン・ヒョンミンは2022年のドラフト4巡目(全体38位)でプロ入りしたものの、1年目は二軍で平凡な成績に終わり、そのまま現役兵として入隊した。

 韓国では兵役義務があり、プロ選手も例外ではない。代表チームに選ばれ国際大会で結果を残さない限り兵役免除は難しく、多くの選手は軍服務の期間に実戦感覚が途切れてしまう。

 軍服務中にも野球を続ける道は、国軍体育部隊のサンム(尚武)野球団に選抜されることだ。しかし競争率は極めて高く、1軍や2軍で既に実績を持つ選手が中心のため、合格は容易ではない。アン・ヒョンミンもサンム入りは叶わず、一般の現役兵として服務した。

 ところが、これが彼にとって大きな転機となった。

 韓国メディア「OSEN」によると、アン・ヒョンミンはGP(監 視哨)警戒兵として入隊したが、腰の状態により調理兵へと配置転換された。調理兵は食材へのアクセスが良く、タンパク質摂取に適した環境であり、彼はこれを積極的に活用した。1年6か月にわたり強度の高いウエイトトレーニングと食事管理に専念し、入隊前90kgだった体重は除隊時には100kgになっていた。

 同メディアによると、アン・ヒョンミンは2025年KBO授賞式で新人賞を受賞した際、「現役で服務した後に活躍するのは簡単ではないが、自分の姿を通じて、他の選手にも希望を与えたい」と語った。

 日韓戦での活躍により韓国代表内でも確かな存在感を示したアン・ヒョンミンは、WBC一次キャンプのメンバーにも選ばれた。聯合ニュースは、日本や台湾の強力な左腕投手が多い2026年WBCにおいて、彼の右打ちの強打が大きな武器になるとの期待が高まっていると伝えている。