■デフリンピック運営委員会と日本選手団に「特別表彰」 2025年度の朝日スポーツ賞が決まりました。テニスの4大大会、全米…

■デフリンピック運営委員会と日本選手団に「特別表彰」

 2025年度の朝日スポーツ賞が決まりました。テニスの4大大会、全米オープンの車いすの部男子シングルスで初優勝し、4大大会とパラリンピックを制する「生涯ゴールデンスラム」を最年少で成し遂げた小田凱人(ときと)選手(19)です。また、聞こえない、聞こえにくい人への共感や直面する課題などを広く伝え、社会全体の意識を高めた「東京2025デフリンピック運営委員会」と、「日本選手団」に「特別表彰」を贈ります。来年1月29日、朝日賞とともに贈呈式を行います。(朝日新聞社)

 小田は、19歳にして、車いすテニスプレーヤーとしてのすべてを成し遂げてしまったように映る。

 9月の全米オープンで初優勝し、4大大会すべてとパラリンピックを制する「生涯ゴールデンスラム」を達成した。

 23年に史上最年少の17歳1カ月で4大大会で初優勝し、世界ランキング1位になった。そのときに明かした。「10歳で競技を始めた頃から、4大大会優勝と世界1位を目指して頑張ってきた。1位はこういうプレー、活動、立ち居振る舞いをするだろうと想像し、やってきた」

 20歳を前に、ライバル不在の強さが際立つ。「孤高の王者」の夢は、パラスポーツの枠を超える。もっとメジャーにしたい。企業に協力を仰ぎ、獲得賞金も使って、テニスクラブなどに競技用の車いすを寄贈する。障害の有無にかかわらず、車いすテニスの魅力を広めるプロジェクトを温めている。

 東京2025デフリンピック(朝日新聞社など協賛)で日本選手団は金メダル16個を含む過去最多51個のメダルを獲得した。競技場内での活躍もさることながら、大会を盛り上げようと尽力した点も見逃せない。

 聞こえない、聞こえにくい人への社会の理解を深めることが大会のテーマの一つだった。選手は練習の合間に小中学校に出向き、デフスポーツの魅力や特性、そして、聴覚障害について伝えた。

 大会に向け、手話をもとにした目で見てわかる応援「サインエール」も生まれた。陸上男子で金メダル2個を獲得した山田真樹や2大会ぶりの頂点に立ったバレーボール女子の中田美緒ら選手も、意見を出すなど協力した。

 運営委員会は日本初開催の大会運営の中心を担い、キャラバンカーで全国を回るなどPRに努めた。選手と運営サイドが一丸となって作り上げた大会には、想定の3倍近い約28万人の観客が集まった。