ノリスとの必死の攻防を繰り広げた角田(C)Getty Images F1での“ラストラン”は無念の結果に終わった。 現地…

ノリスとの必死の攻防を繰り広げた角田(C)Getty Images

 F1での“ラストラン”は無念の結果に終わった。

 現地時間12月7日、F1の今季最終戦となるアブダビGPがヤス・マリーナ・サーキットで行われ、来季からテスト兼リザーブドライバーに降格する角田裕毅は14位でフィニッシュ。目指していたポイント獲得という目標は果たせなかった。

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 10番グリットから出走した角田。3番手まで浮上していた23周目には、ピットインを終え、後方から猛追してくるランド・ノリス(マクラーレン)との競り合いの局面を迎える。チームメイトであるマックス・フェルスタッペンが逆転優勝を狙っていただけに、ドライバーズランキングで首位に立つノリスはなんとしても抑えたい相手だった。

 レッドブルの思惑は当然ながら角田も承知の上。ゆえに彼は無線を通じて「何をやったらいいかは分かってるよ」とチームに発信。そして必死のブロッキングを展開する。首位にいたフェルスタッペンからノリスを遠ざけんと、マシンを左右に操作しながらコースを防ぎ、懸命な“抵抗”を見せた。

 だが、マシンのスピードで上回るノリスはイン側からコースアウトとなる反則ギリギリのラインを突いて突破。角田をオーバーテイクして一気に引き離していった。

 角田にとって災難だったのは、この場面に関して、ペナルティが課されたこと。ノリスとともにスチュワード(審議委員)の審議対象となったが、危険な走行をしたとして5秒のタイムペナルティを命じられたのは角田だけだった。

 タイトル争いの行方を大きく左右する局面でお咎めを受けなかったノリスは、最終的に3位でフィニッシュ。今GPを制したフェルスタッペンとわずか2ポイント差で退け、自身初となる総合優勝の栄冠を掴んだ。

 仮に角田との競り合いでノリスもペナルティを受けていれば、目前に迫っていた「優勝」も逃していたかもしれない。それだけに各国メディアでは反則寸前のコース取りでオーバーテイクをした当該シーンが物議を醸している。

 英紙『The Independent』は「なぜコース外で追い抜いたランド・ノリスが罰せられなかったのか?」と指摘し、問題の局面を「ノリスはF1世界チャンピオンを目指す中で危うく窮地に陥るところだった」と回想。その上で角田のブロッキングによってノリスが「反則ラインの瀬戸際に押し出された」と分析した。

 また、同紙は、結果的に蛇行運転をする形となった角田にのみ「危険性があった」とするマクラーレンのザック・ブラウンCEOのコメントを伝えている。

「間違いなく正しい決定だ。ユウキの走行は危険で不必要なものだった。もちろんチームスポーツだから、2台目のマシンが、エースのマシンを手助けするのは当然だけど、限度はあるはずだ。だから、あくまで私の意見では、ユウキは責任を負うべきだと思う。あれは危険な走行だった」

 紆余曲折があった1年を、不完全燃焼と言える形で終えた角田。せめて、盟友フェルスタッペンが総合優勝を手に出来ていれば良かったが……。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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