高木豊の現役ドラフト展望 パ・リーグ編(セ・リーグ編:高木豊が予想する「現役ドラフト」阪神など、セ・リーグ6球団でリスト…

高木豊の現役ドラフト展望 パ・リーグ編

(セ・リーグ編:高木豊が予想する「現役ドラフト」阪神など、セ・リーグ6球団でリストアップされそうな選手は?>>)

 高木豊氏に聞く現役ドラフト展望のパ・リーグ編。環境を変えることで活躍しそうな選手を挙げてもらった。


高木氏が名前を挙げた楽天の外野手、田中和基

 photo by Sankei Visual

【ソフトバンク】

 過去の例を見ると、外野手が飽和状態の時に水谷瞬を出したように、ソフトバンクは将来性のある若い選手でも見切りをつけますよね。それを考えると、捕手の渡邉陸(わたなべ・りく/25歳)は可能性がありそうです。

 一軍に出だした2022年頃はバッティングがよかったのですが、今は伸び悩んでいます。海野隆司がいて、2番手以降には嶺井博希、谷川原健太らがいる。嶺井も谷川原もいい内容のバッティングをしていますし、若手の石塚綜一郎も使われだしている。そうなると、渡邉の出番はなかなかないと思います。

【日本ハム】

 内野手の上川畑大悟(かみかわばた・だいご/28歳)は候補に挙がるかもしれません。今季もシーズン途中から、一軍に上がる気配もありませんでしたし、35試合しか出ていませんよね(2024年は106試合出場)。それと、日本ハムは清宮幸太郎や水野達稀ら左バッターが多いんです。右バッターの奈良間大己らは左ピッチャーの時に先発で起用することを想定して残しておきたいでしょうし、上川畑の立場が苦しくなるかなと。

 淺間大基(あさま・だいき/29歳)の可能性も考えましたが、彼はバッティングがいい。代打での集中力もありますし、先発でもいけます。それと、松本剛がFA権を行使して巨人に移籍しましたし、打力のある淺間は残しておきたいはずです。

 ただ、先ほど挙げた上川畑の力が落ちたわけではありません。環境を変えれば、攻守で戦力になれる力はあります。

【オリックス】

 ルーキーの麦谷祐介が1年目から戦力になることをアピールしました。そうなると、同じ外野手で似たタイプの茶野篤政(ちゃの・とくまさ/26歳)は可能性があると思います。出場機会が年々減っていますし(今季は3試合)、麦谷と役割がかぶっています。

 さらに外野には、今季に首位打者の可能性もあった西川龍馬、リーグ3連覇の主力メンバーである中川圭太、杉本裕太郎らもいます。来田涼斗や池田陵真といった若手に対する期待も大きいと思いますし、やはり茶野が出場機会を得るのはなかなか難しいでしょう。まだ若いですし、環境を変えてあげたほうがいいかもしれません。

【楽天】

 リリーバーの津留﨑大成(つるさき・たいせい/28歳)は可能性があるかなと。楽天は前田健太(前ヤンキース傘下3Aスクラントン)を獲得し、ドラフト1位で即戦力に期待の右腕・藤原聡大(花園大)を獲得していることからも先発ピッチャーの補強を進めているのに対し、リリーフ陣はすでに揃ってきています。津留﨑は球団を変えてもいいかもしれません。

 あと、今季は中島大輔がいいアピールをしたので、同じ左打ちの外野手、田中和基(たなか・かずき)あたりは候補になりそうです。2018年の新人王ですが、近年はほとんど使われていませんし(今季は19試合出場)、立場は厳しいです。

 右打ちの外野手の吉野創士(よしの・そうし/22歳)も可能性があるかと思いましたが、右打ちの阿部寿樹を戦力外にしたじゃないですか。そうなると、右バッターは残しておくかもしれません。 

【西武】

 外野手の岸潤一郎(きし・じゅんいちろう/28歳)だと思います。外野手は西川愛也、渡部聖弥、長谷川信哉と揃ってきていたところに、DeNAから、FA権を行使した桑原将志を獲得しました。同じくFAで、日本ハムから内野手の石井一成も獲得しましたし、内野から外野に回す選手も出てくるでしょうから、ますます岸の出番はなくなります。

 右の外野手が不足している巨人あたりは、岸が出てきたら注目すると思いますし、別のチームに移ったほうがチャンスは増えると思います。守備がいいですし、ガッツがある選手ですが、好不調の波をなくせるかどうかですね。

【ロッテ】

 ロッテは和田康士朗(わだ・こうしろう/26歳)が候補になりそうです。もともと外野手の層が厚かったところに、ルーキーの西川史礁が新人王を獲得する活躍を見せた。これまで故障が多かった藤原恭大、髙部瑛斗らも来季は主力として考えられているようですし、山本大斗も出てきています。

 また、"首の皮一枚"の状態だった山口航輝もホームランを固め打ちしてアピールしましたし、岡広海やグレゴリー・ポランコもいます。和田の足は魅力ですが、藤原や髙部にも足がありますからね。そう考えると、よほど打たないと先発では出られません。

 一軍にいても代走でしか使われない期間が長く、あまり打席に立てていなかったこともありますが、やはりもう少し打てないと。ただ、他のチームから見れば和田の足は魅力がありますし、バッティングの経験が積める環境に移れば変わるかもしれません。リスト入りすれば、人気が出ると思いますよ。

【プロフィール】

高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。