【明治安田J1リーグ 第38節 柏レイソルvsFC町田ゼルビア 2025年12月6日(土)14:05キックオフ 三協フロ…
【明治安田J1リーグ 第38節 柏レイソルvsFC町田ゼルビア 2025年12月6日(土)14:05キックオフ 三協フロンテア柏スタジアム】撮影/原壮史(Sony α1使用)
■両チームの守備陣が奮闘してのスコアレス
日立台は黄色に染まっていた。そして熱気を内包した緊張感が張り詰めていた。
勝ち点1差の2位、という状況で最終節を迎えた柏。サポーターたちは、新指揮官リカルド・ロドリゲスのもと、質の高い連動による崩しで旋風を巻き起こしたシーズンの結末を見届けるべく、日立台に足を運んだ。
「自分たちにやれること=勝つこと」に照準を定めてのキックオフ。柏は長らく戦列を離れていた久保藤次郎が、9月12日以来となる先発出場を果たしたが、前半は相手のマンマークによる素早い対応に苦しめられる展開となった。
町田の守備において大きな影響を及ぼしていたのが、9月23日以来の先発復帰を果たした岡村大八だった。岡村がディフェンスラインの中央に陣取ることで昌子源が広範囲に出没し、柏の攻撃陣を困らせることになった。特に、柏のキーパーソンである小泉佳穂に対し、センターバックの昌子が柏陣内まで付いていって立ち塞がり、柏の強さを支える2列目の数的優位による連動を機能させなかった。
その中で驚異的な“強さ”を見せていたのが細谷真大だった。相手を背負いながらボールを収めて、強引にシュートまで持ち込んだ。だが、それも単発。町田はしっかりとした守備からロングボールを効果的に使って左右両サイドから柏ゴールに迫った。
攻撃を封じられた柏だったが、守備での良さは失わず。古賀太陽の個への対応力を軸に町田の攻撃に対処し、前半を0-0で終えた。
■「タイトルを獲るための近道であると確信した」
迎えた後半、試合展開を変化させたのは中川敦瑛だった。人に付く町田の守備に対し、23歳の大卒ルーキーは自らボールを持ち出すことで全体のバランスを変化させると、そこから柏の攻撃の良さである2列目の厚みが取り戻されていった。
高い位置での攻撃の作り直しを繰り返しながらチャンスを生み出すと、その流れの中で迎えた後半18分、瀬川祐輔のクロスがオウンゴールを生み、柏がついにリードを得た。
その後も柏はチームとしての良さを出し続け、最後には来季から正式加入の新星でありながら、最も苦しい時期となった10月にチームを支える選手となった山之内佑成をピッチへ送り出し、1-0のままタイムアップを迎えた。
自分たちにやれることをやり遂げた柏だったが、鹿島アントラーズが横浜F・マリノスに勝利したため、逆転優勝とはならず。勝ち点1差の2位のまま幕を閉じた。それでもスタジアムは温かい拍手に包まれた。
試合後の会見でリカルド・ロドリゲス監督は「このスタイルこそが多くの人を幸せにしながらタイトルを獲るための近道であると確信した」と今シーズンの躍進を振り返った。
リーグ最少の5敗である一方、引き分けはリーグ最多タイの12だった。来年の上半期は、引き分けの場合はPK戦に突入する特殊なレギュレーションで行われるが、偶然にも訪れるその特別大会を課題克服の機会としつつさらに質を高め、26-27シーズンの戴冠へと歩みを進めることができるだろうか。
■試合結果
柏レイソル 1-0 町田ゼルビア
■得点者
63分 オウンゴール