◇国内男子◇日本シリーズJTカップ 最終日(7日)◇東京よみうりCC(東京)◇7002yd(パー70)◇晴れ(観衆38…
◇国内男子◇日本シリーズJTカップ 最終日(7日)◇東京よみうりCC(東京)◇7002yd(パー70)◇晴れ(観衆3823人)
いつも涼しげにプレーしているようで、内心はどんな時も揺れていた。「やっぱり意識しているときがありました。緊張も、もちろんしていました」。シーズン最後の日曜日は、逆転賞金王の可能性を秘めていた蝉川泰果と同組で相対し、逃げ切った。「やっと、終わった」。23歳・金子駆大のキャリア最大の挑戦が東京でフィナーレを迎えた。
高校卒業後の2021年に日本ツアーの最終予選会に進み、22年に下部ACNツアーを主戦場として翌年からレギュラーツアーに定着した。初年度の23年に賞金シードを獲得、昨年はランキング14位。ことし5月の「関西オープン」で待望の初優勝を飾った。
順調にステップを踏んできたようで、「1勝してから2勝目をするのがすごく難しいと思った」と振り返る。10月の国内メジャー「日本オープン」から2試合続けて最終日最終組を戦いながら競り負けた。自信の芽が出たのは11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」。後続に6打差をつけた2勝目は、生源寺龍憲を抜いて賞金ランクトップに浮上する結果を導いただけでなく、「調子が良ければ優勝できる。良い状態をつくれば、ある程度は良いところに行ける」と気持ちの矛先を自分自身に向けるきっかけになった。
通算4アンダーの7位で終えた今大会を含め、トップ10入りは11回。18歳2カ月19日で賞金王に輝いた石川遼(2009年)、21歳9カ月6日で続く松山英樹(13年)に次いで、史上3番目(23歳3カ月3日)の若さでその座に就いた賞金王は、照れ笑いしながら長所を「ミスをしても(大きく)曲がらないこと」と言った。89.201%のパーキープ率(1ホールをパー以下で上がる確率)でツアートップ。パッティングで「プレッシャーがかかったとき、いつものパフォーマンスを出せるかというところを重点的にやってきた」自負がある。
賞金王に輝いたことで、2026年シーズンのDPワールドツアー(欧州ツアー)出場権を獲得した。11月の「ダンロップフェニックス」終了時の賞金ランク1位の資格で、次週は米ツアーの最終予選会(フロリダ州TPCソーグラス)に挑戦する。PGAツアーの来季出場資格を得られるトップ5を外した場合は、欧州を新天地にするつもりでいる。
祖母に誘われ3歳でクラブを握ったゴルフ人生で、まだ欧米でプレーしたことがない。「あしたからアメリカに行かないと。頑張りたいと思います。まったく経験がないのでわからないですけど、まずは1年、健康にツアーを回れればいい」。顔を上げた先には、見たことのない大きな世界が広がっている。(東京都稲城市/桂川洋一)