帰ってきたベテラン内野手はどんな役割を担うのか、期待が高まる(C)産経新聞社 トレードマークの髭をたくわえて、「マスター…

帰ってきたベテラン内野手はどんな役割を担うのか、期待が高まる(C)産経新聞社

 トレードマークの髭をたくわえて、「マスター」が帰ってきた。
 
 中日は12月5日、楽天を退団した阿部寿樹の復帰を発表。2022年シーズン以来、4年ぶりの古巣帰還である。

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 同日に会見に臨んだ阿部は「懐かしい思いとありがたい気持ちが強い」と感慨深げ。3日に36歳になってばかりで、中日の野手陣では大島洋平の次に年長者となるが、「自分ではまだ若いと思ってやりたい」と意欲を示したと報じられた。

 主力として活躍した人気選手の帰還。竜党も歓迎ムードの中、果たして今の阿部にはどんなことが期待できるか。少し考えてみたい。

■OPSを稼げる打者

 まずは、楽天時代の3年間を簡単におさらいしよう。
 
 打撃面では打率は2割台前半〜中盤だったものの、出塁率は3割台中盤、長打率は4割前後を記録。いわゆる「OPSを稼げる打者」だった。3年続けてOPSは.700を超えており、一定の水準を保っている。ちなみに今季のOPS.723は、チームで100打席以上立った中だと3位相当の数字。中日に置き換えても6位相当と、レギュラークラスの質を保っている。

 一方の守備面は、移籍初年度の2023年は一塁がメイン。24年は左翼とDHが中心で、25年も左翼での起用が最も多かった。かつての定位置・二塁を守ったことは3年間を通して一度もなく、三塁を守る機会も年々減少。一塁と左翼がリアルな守備位置となっている。

■三塁のポジション争いに参戦か

 これを前提に、阿部は来季以降の中日でどんな活躍を見込めるだろうか。

 打撃での貢献は引き続き期待できるのではないか。「OPSを稼げる打者」であるということは、得点を生み出す能力が高い。引っ張っての強い打球、渋く右へ流すバッティングで状況に応じて役割をこなすイメージが湧く。来季から本拠地・バンテリンドームナゴヤに導入される「ホームランウイング」も後押ししてくれるはずだ。

 また、左投手キラーの一面もあり、昨季は9本塁打中8本が左投手から打ったもの。DeNA・東克樹や広島・床田寛樹など、強力な左腕相手のスタメン起用は十分にあり得る。

 守備位置に関しては、今季は一塁がジェイソン・ボスラー、左翼が細川成也と主軸が担っていた。彼らを外してまで阿部を使うのは少し想像がしにくい。ただ、三塁は確固たるレギュラーが不在。ここのポジション争いに参戦するのが現実的か。そして27年以降はDHを担う機会も出てくるだろう。

 控えめでシャイ。でも仕事はしっかりする。「マスター」健在をぜひ見せてもらいたい。

[文:尾張はじめ]

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