14年ぶりの優勝をかけたシーズンの最終盤を、どんな心境で迎えているか。 柏レイソルのリカルド・ロドリゲス監督は報道陣に…

 14年ぶりの優勝をかけたシーズンの最終盤を、どんな心境で迎えているか。

 柏レイソルのリカルド・ロドリゲス監督は報道陣に問われると、ある格言を紹介した。

 「サッカーは、与えた分だけ、与え返してくれる」

 質の高いプレーをサッカーに「与え」続けたら、サッカーの神様は自分たちにほほえんでくれるはず――。

 好んで使うというスペイン語の言葉には、貫いてきたスタイルへの自信が表れている。

 ロドリゲス氏は今季から柏の監督に就任し、近年の堅守速攻から、細かくパスをつなぐ攻撃的なチームへとスタイルを変えた。

 現場に混乱はなかったのか。22年まで柏一筋でプレーしてきた大谷秀和コーチは「不安より、楽しみが大きかった。アカデミー(育成組織)出身の選手には、慣れ親しんだ部分があるはずだから」と振り返る。

 DF古賀太陽、MF山田雄士、MF熊坂光希、FW細谷真大。柏の主力には、育成組織出身の選手が複数人いる。彼らが学生時代に学んできたのは、ボールを大事にし、自ら主導権を握るサッカーだ。

 最終節前までで、パス総数が2万回を超えているのはJ1で柏だけ。主将の古賀が「無意識下でも自然と表現できた」と言えば、細谷も「(今年の方が)レイソルらしいと感じる」。攻撃的なスタイルは、クラブが本来大事にしてきたものへの回帰でもある。

 ロドリゲス監督は、2017年から徳島ヴォルティスや浦和レッズなどのJクラブを率いてきた。日本で過ごし、「クオリティーが高い」と感じたチームは二つ。

 鬼木達監督の下で4度優勝した川崎フロンターレと、アンジェ・ポステコグルー監督が率いて19年に優勝した横浜Fマリノス。ともに、攻撃に強みをもつチームだった。

 過去の王者に負けじと、本来の「柏らしさ」を取り戻した自負があるからこそ、こう言える。

 「優勝争いをしている喜びはあるが、どのようなスタイルでここまでたどりついたかにも価値がある」(加藤秀彬)