【WRC世界ラリー選手権】第14戦 ラリー・サウジアラビア(11月26日〜29日)【映像】引退ランで捉えた“スポーツマン…
【WRC世界ラリー選手権】第14戦 ラリー・サウジアラビア(11月26日〜29日)
WRC(世界ラリー選手権)の2025年シーズン最終戦「ラリー・サウジアラビア」。今季限りでWRCフル参戦引退を表明している2019年王者のラストランで、スポーツマンシップが光る一幕に、多くの反響が寄せられた。
2019年王者のオィット・タナック(ヒョンデ)は競技2日目終了時点で首位と13秒7差の総合4位につけ、上位争いを展開していた。しかし、迎えたSS14「ワディ・アル・マトウィ2」 でアクシデントが発生する。区間タイムの推移を見ると、3つ目の区間でいきなり暫定トップから3分14秒遅れをとり、マシンに何らかのトラブルを抱えている様子が伺えた。
その後もスロー走行を続けていたタナックだったが、コース脇に突如マシンを停止させる。実況の菱沼州斗アナウンサーも「何ということだ!」と声をあげ、続けて「タナックの後ろからパヤリ、セスクスが続いている状況です」と、後続車が迫っている緊迫した状況をレポート。直後、タナックへのチームラジオで「(後続車は)900m後にいるよ」という情報が入る。
すると砂煙を上げながら猛スピードで走るサミ・パヤリ(トヨタ)のマシンが、タナック車の横を駆け抜けていった。実はトラブルそのものではなく、順位を争う後続の若手ドライバーの走行を妨げないよう、進路を譲るための停車だったことが判明した瞬間だった。
この元王者の振る舞いに、ファンからは「通過待ちか…」「快速まち」「通過列車」「マナーです」「お先にどーぞ」「よけてる?」「タナック、いい人だよね」などのコメントが寄せられた。タナックはデイリタイアとなったものの、最終日は復帰。走行後に「これから休息をとることになるが、家族と過ごす時間がすごく少なくなっていることが理由」と述べた。実況の菱沼アナウンサーが「アイスマンと呼ばれることもありますけれど」と言及したことを受けて、解説のピエール北川氏は「全然そんなことないと思う。人情味のある温かい男」と述べたが、競技でも最後までナイスガイな一面を見せた。(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2025』/(C)WRC)