11月11日(土)明治神宮野球大会第2日  vs 環太平洋大(中国・四国三連盟代表/中国)

崖っぷちから奇跡の6連勝を遂げ見事東京六大学の覇者へと登り詰めた慶大。全国の舞台では、関根智輝(環1)の好投も虚しく打撃が振るわない。6回までを全て打者3人で終わらせられると、リーグ戦時の勝負強さを見せつけることもなく東京六大学代表は16年ぶりに初戦で姿を消すこととなった。

 

主将・照屋不在で臨む一戦となった

神宮の見慣れた緑と青のコントラストの中に見慣れない青のユニフォーム。主将の照屋塁(環4)が怪我で不在の中、日本一を目指す慶大と環太平洋大学の戦いの火蓋が切られた。

慶大の先発マウンドには1年生の関根があがった。サイレンが響くとほぼ同時に主審の声が響き、電光掲示板にストライクを表示させる。先頭の打者を140㌔台のストレートで三振を奪うと立ち上がりは上々。郡司裕也(環2)が盗塁を阻止するなど見事3人で初回を終わらせる。

岩見の打席に多くのファンが注目した

2回裏の攻撃、先頭で慶大の主砲・岩見雅紀(総4)が打席へ向かうと観客で埋め尽くされたスタンドからは盛大な拍手が送られた。初球はバットが大きな弧を描き空振り。次の2球目。打球は勢い良く転がると二遊間を抜けた。これがチーム初ヒットとなる。先頭が出塁したのも束の間、1死から併殺に討ち取られ陸の王者の猛攻はあっけなく終わってしまう。

試合が動いたのは、直後の3回。関根が好投するも相手打者に粘られ、先頭の出塁を許す。するとここで、リーグ戦ではほとんど見られなかったが痛恨のバッテリーミス。簡単に得点圏にランナーを進めてしまうと先制点を献上してしまう。1点を失ってしまったが、その後は1人もランナーを許さないで試合は後半戦へ。関根は5回途中まで8つの三振を奪いながら粘りの投球を見せた。

そんな関根と裏腹に打撃陣はパッとしない。6回までを相手の先発投手にわずか57球で2安打に抑えられた。環太平洋大が継投に入ると、慶大はなんとか得点圏までランナーを進めるも1本が出ない。一度もホームを踏むことなく試合は進む。

ワンポイントで役目を果たした髙橋佑

一方守りでは6回に関根がピンチを招くも、1つ年上の髙橋佑樹(環2)が見事な火消し役を演じた。やはり、主将の存在は大きかったのか。終盤に入ると、ここまで“隙のない野球”を続けてきた慶大の守備に乱れが生じる。エラーやボーク、連打などを絡め無念の4失点。

3番手・石井は1回1/3を投げ4失点(自責点3)

最終回も、先頭から2者連続四球を与えてしまい、追い詰められた慶大だったが、マウンドに4年生の川端康司(政4)があがる。野球人生最後の意地をぶつけると、無死一、二塁からランナーを帰すことなく最後は三振に打ち取った。

6番手・川端が意地の力投でピンチをしのいだ

最後の攻撃、ここから4年生の意地がつながる。1死でリーグ戦最多四死球の瀬尾翼(理4)が四球を選ぶと、岩見、清水翔太(総4)と4年生が安打を放ち1点を返した。反撃を見せたい慶大だったが相手の好守に阻まれ試合終了。日本一への道のりはまだまだ遠かった。

無念の初戦敗退。日本一の悲願は後輩たちに託された

試合に出ている下級生全員が口を揃えて言った「4年生のため」。三大目標の最後の一つであった“日本一”は叶えることができなかったが、今年は最初から最後まで4年生主体のチームだったと言えよう。「リーグ最下位も有り得る」と言われ始まったこのチーム。何はともあれ、最後のリーグ戦を“優勝”の二文字で飾れたことは有終の美であった。野球継続者の少ない今年の4年生だが、今日のこの経験を活かし今後も躍動を続けてくれるだろう。そして、この4年生たちでさえ成し遂げられなかった“日本一”の夢を後輩に託した。 

記事:千綿 加華