蹴球放浪家・後藤健生は、西日本のサッカー熱の「急成長」を感じている。その要因のひとつがスタジアムだ。長崎への取材旅行で…
蹴球放浪家・後藤健生は、西日本のサッカー熱の「急成長」を感じている。その要因のひとつがスタジアムだ。長崎への取材旅行では日本酒と、新スタジアムの「素晴らしさ」に酔いしれながらも、なでしこジャパンの未来への「漠たる不安」を感じていた!
■全日空の「格安」早朝便で佐賀空港へ
長崎市を訪れるのは4回目だったと思います。
いつも感じることですが、長崎は坂の多い街です。スタジアムシティのバックスタンド後方にも山の上に学校があるのが見えます。
山が海に迫って坂の多い街には必ず良い港があります。港の水深が深いので大型船が接岸できるからです。その結果、長崎は江戸時代にオランダ商館が設けられ、この街から外国の情報が入ってきました。そういえば、朝鮮海峡を挟んだ対岸の釜山(プサン)も坂が多くて、長崎と地形がよく似ています。
今回、長崎に行くのに僕は佐賀空港行きの全日空の早朝便を利用しました。11月28日の佐賀便は約8000円という安値だったからです(使用機材はエアバスA320でした。調べてみたら翌日の佐賀便は欠航になっていました)。
■次の列車まで「駅構内」の日本酒バーへ
僕は佐賀県ではこれまで鳥栖市にしか行ったことがありませんでした。そこで、9時過ぎに佐賀空港についてからバスで市内に移動。佐賀城や大隈重信公生家などを観光し、ご当地グルメのシシリアンライスを食してからJR佐賀駅に向かいました。
鈍行列車を乗り継いで長崎まで向かおうとしたのです。
ところが、なんと次の列車まで2時間もあることが判明したのです! 幸い、駅構内に日本酒バーがあったので有明海の魚介類をつつきながら、佐賀県内の日本酒を堪能することもできました(独特の酸味が感じられる美味しいお酒でした)。
佐賀空港から佐賀市内までのバス移動。そして佐賀市内のブラブラ歩き……。
印象的だったのは、とにかく平坦だったことです。筑後川が有明海に注ぐ沖積平野。火山性の花崗岩や変成岩が削られて堆積した広大な平地が広がっていました。そして、有明海も日本有数の遠浅の海です。農業用の水路(クリーク)も多く、佐賀市内にも水路がいくつも流れています。
■思い出した「21年前」の中国アジア杯
そして、長崎が坂の多い街であるの対して、隣の佐賀県の県庁所在地が日本でも最も平坦な街であることが面白く思えました。長崎と佐賀は、いわゆる「令制国(りょうせいこく=奈良、平安時代の律令に定められた地方行政単位)」としては長崎も佐賀もおなじ肥前国(ひぜんのくに)です。
2004年のアジアカップ中国大会で、ジーコ監督の日本代表はグループリーグを重慶市で戦い、半日ブーイングに包まれました。僕も重慶に滞在していましたが、サウジアラビアやウズベキスタン、イラクの試合を見に、バスで成都まで行ったことがあります(重慶市は今は独立した直轄市ですが、昔は四川省の一部でその省都が成都でした)。
その、同じ四川にある重慶は長江と嘉陵江という2つの大河が合流する地点にあり、坂道だらけの街だったのに対し、成都は四川盆地の中央の非常に平坦な街でした(平らな成都には大量の自転車が走っていましたが、坂道だらけの重慶では自転車は見かけませんでした)。
そのとき「同じ四川というのに、なんという違いだろう」と感心したのですが、今回、佐賀市と長崎市を訪れて、ふと21年前の中国旅行のことを思い出しました。
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