「7イニング制の採用が望ましい」。5日、日本高校野球連盟の「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」が出した最終報告書…
「7イニング制の採用が望ましい」。5日、日本高校野球連盟の「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」が出した最終報告書は、野球の根幹ルールの変更に踏み込むものだった。
2028年以降の全ての公式戦での導入、特に暑さの厳しい6~8月に行われる全国選手権大会(地方大会を含む)については、「可及的速やかに」対応を求めた。
17ページにわたってまとめられた最終報告書では、審議の前提として「高校野球がめざすもの」が掲げられた。
「成長期である部員の健康を守ることならびに高校野球に関わる全ての人々が安全に、安心して関与することができる対策を積極的に推進していく」という内容だ。
議論は喫緊の課題である暑さ対策の観点だけでなく、少子化や気候変動、働き方改革など、高校野球を取り巻く様々な観点からなされた。
■高校野球、テレビやネット配信で国内外に
最終報告書は高校野球がテレビやインターネット配信を通じて国内外の人から注目されることにも触れ、「熱中症リスクや働き方改革が社会的課題とされていることを理解した上で、解決へ向けて自ら変化していくというメッセージを込めるという点でも、7イニング制は有効」とした。
またそういった姿勢は、「国、地方自治体などから独立した組織による管理・運営」をうたう日本学生野球憲章の理念にも通じ、「意義がある」とした。
7イニング制に関する意見収集は、(1)一般向けのモニター調査(2)加盟校向け(3)主に高校野球ファンを想定した日本高野連のホームページでの自由記述の3形式で行われた。唯一、賛成が反対を上回った一般向けの調査では、賛成の理由として「試合時間が短くなり、選手の熱中症予防の効果が認められるから」が最多だった。
加盟校は部員数が増えるほど反対が増え、部員が61~80人の学校では、91.1%が反対だった。「プレー機会が減ってしまう」が主な理由だった。この点に対して報告書では「DH制の採用は対策の一つではあるが、そのほかにも可能な限り対応していく必要がある」と求めた。
7イニング制により、競技力や高校野球人気の低下を懸念する意見については、「部員並びに関係者の健康を守り、維持することが教育の一環として取り組んでいる高校野球では優先されるべきと考える」とした。
日本高野連の井本亘事務局長は記者会見で、「アンケートだけが判断材料ではない。いただいた意見も尊重しつつ、選手の健康問題、教員の働き方改革など色んな角度から考えて7イニングが有効である、という結論の報告書をまとめてもらったと思う」と語った。
検討会議は北村雅敏・日本高野連顧問が座長を務め、宝馨・日本高野連会長や元指導者、大学教授ら計15人で構成。計10回の会議で、国民スポーツ大会(国スポ)での7イニング制実施や来春の公式戦からの指名打者(DH)制の導入がすでに決まっている。(室田賢)