「丈夫な身体」で、再び神宮を駆け抜ける-。ヤクルト塩見泰隆外野手(32)が5日、都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1…

「丈夫な身体」で、再び神宮を駆け抜ける-。ヤクルト塩見泰隆外野手(32)が5日、都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1400万円減の年俸4300万円でサインした。今季もリハビリ続きで「苦しかった」と告白。21、22年の連覇に導いたリードオフマンは、昨年5月に左膝前十字靱帯(じんたい)と半月板を損傷して手術。さらに今年3月、日本ハムとのオープン戦で再び左膝を負傷し、4月に再手術。開幕直前のアクシデントに「またあのリハビリをするっていうのはちょっと考えられなくて」と心が折れかけ、「野球をやめたい」と思うまで追い込まれた。

それでも、愛妻や家族の「やりたいなら全力で支える」という言葉に救われ、「やっぱり神宮で活躍したい気持ちが上回った」と再び立ち上がった。再発防止のため前回以上に強度の高いトレーニングを実施。今春、戸田球場で球界最年長の石川から贈られた「百折不撓」の四字熟語も胸に刺さった。何度折れても志を曲げないという決意の通り、地道に回復へ向かった。

9月28日の本拠地最終戦では守備や打席こそなかったが、505日ぶりに1軍の舞台に立つことができた。「アップでグラウンドに立った瞬間、『もう1回ここでやりたい』という気持ちが強く湧きました」と、あの日の感触が日々のモチベーションだ。

来季目標は「丈夫な身体」。一からの再出発を誓う。「ポジションや打順のこだわりはありません。とにかく試合で活躍したい」。完全復活へ、表情には迷いない強い覚悟だけが宿っていた。(金額は推定)【佐瀬百合子】