F1の酸いも甘いも知るハミルトンが角田に対する想いを語った(C)Getty Images角田が明かした契約事情「決定の知…

F1の酸いも甘いも知るハミルトンが角田に対する想いを語った(C)Getty Images

角田が明かした契約事情

「決定の知らせは、レース(カタールGP決勝)直後にヘルムート(・マルコ博士)から直接伝えられた。もちろん、失望したし、腹が立った」

 来季のF1ドライバーから外れ、角田裕毅(レッドブル)は率直な想いを漏らした。

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 現地時間12月4日、今季F1最終戦となるアブダビGPを目前にしたメディア対応の場で、オランダの専門メディア『Racing News365』などのインタビューに応じた角田は、レッドブルのテスト兼リザーブドライバーに回った心境を問われ、「来年から(F1の)レースに出られないことをまだ完全には受け止めきれていない」としつつ、「意外にも大丈夫だったんだ。いや、完璧に大丈夫ってわけじゃないけど……もう自分はアブダビのことを考えていた」とも語った。

 あくまでF1ドライバーとして迎える最終戦に目を向けた。「F1は自分にとって人生そのもの」とも明かした角田だけに、来季からシートを失うという事実に対する複雑な想いは想像に難くないが、最後までプロフェッショナルな姿勢を貫く姿は見事であった。

 今回のドライバーラインナップは、幾度となく決定発表が先延ばしなるなど混迷を深めながら、最終的に若手が優先される形となった。レッドブルには“絶対的エース”のマックス・フェルスタッペンに加え、レーシングブルズで飛躍を遂げた“新人”アイザック・ハジャーが昇格。

 そして、姉妹チームであるレーシングブルズではリアム・ローソンが残留。さらに今季のF2王者となった、次世代のスタードライバー候補であるアービッド・リンドブラッドが抜擢された。

 リザーブという立場でレッドブルグループに残った理由としては、フェルスタッペンを除くドライバーのF1キャリアが浅いこと、そして、角田のキャリアが評価されての結果とも言える。

 一方で「他のチームから数件のオファーはあったけど、契約上、彼らと実際の交渉することは許されなかった」とした本人のコメントにあるように、退団が認められなかった契約が複雑に絡んだ形でもあった。それだけにライバルチームのドライバーからは、がんじがらめとなった角田に対する“同情”も広まった。

「レッドブルに移籍したらどうなるか、どんな環境に放り込まれるか」

 過去7度のF1王者となったルイス・ハミルトン(フェラーリ)も黙ってはいなかった。

 4日にF1公式サイトなどの取材に応じた40歳になったカリスマは、まずキャリア2年目で、多くの名手たちが苦心してきたレッドブルのセカンドシートに座るハジャーについて「まだとてつもなく若い。心配をしていないと言えば、それは嘘だ」と断言。

 さらに「レッドブルに移籍したらどうなるか、どんな環境に放り込まれるかは、もう誰もが知っている。外から見た限りだけど、かなりタフだ。間違いなく今いる場所(レーシング・ブルズ)の方が、本当に環境に恵まれている」と続け、角田に対する私見も披露した。

「ユウキは本当に素晴らしいドライバーだ。ただ、あのチームに行ったドライバーは誰もが、今回の彼と同じような経験をしている。でも、それは外されたドライバーたちが優れていないという意味じゃない。明らかに“別の何か”が起きているんだ。俺はユウキに適切なサポートが与えられるよう、あのチームの体制が改善されることを願っている」

 また、2021年にレッドブルのレギュラーシートを失い、リザーブドライバーとして1年を過ごしたアレックス・アルボン(ウィリアムス)は、ドイツ・メディア『Motorsport-Total』で「正直、ユウキにとってはかなり辛いことだろうね」と発言。そして、自身の過去を振り返りつつ、次のように慮った。

「ユウキは極めて才能あるドライバーだと思うし、個人的な意見を言わせてもらえるなら、F1で居場所を得るのにふさわしいと思う。彼が置かれた状況は、僕が2021年に経験した状況ととても似ている。実際のところはそう思う。まぁ、バイアスがかかっているかもしれないね。パドックにいるアジア人仲間には、すごく偏った見方をしてるんだ。でも彼が戻れることを願っている」

 かならずF1に戻れる――。“同業者”から相次いだ声は、角田の高いポテンシャルを物語っているとも言えよう。それだけにリザーブという立場でも「チームの一員として、想像もしなかった多くのことを学べる」と意気込む25歳の成長に目が離せない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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