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 米経済誌『Forbes』が発表した「30 Under 30」2026年版スポーツ部門に、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(オクラホマシティ・サンダー)、ビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)、アリーヤ・ボストン(インディアナ・フィーバー)、ペイジ・ビューカーズ(ダラス・ウィングス)の4選手が名を連ねた。

 NBAおよびWNBAの“次の主役”たちが、ビジネス誌の看板企画で肩を並べた。「30 Under 30」は2011年から続くフォーブスの年次企画で、30歳未満の「これから世界を動かす30人」を選出するリスト。スポーツ部門は成績ランキングではなく「競技の内外で勝ち続けている存在」をテーマに、アスリートや経営者を横断的に評価するのが特徴となっており、今年のジャッジには、カイル・クーズマ(ミルウォーキー・バックス)や、フェニックス・サンズおよびフェニックス・マーキュリーの理事を務めるジャスティン・イシュビアが参加している。

 そのコンセプトを体現する一人が、WNBAで躍動するフィーバーのセンターだ。ボストンは2023年にWNBA新人王に選ばれ、ルーキーながらオールスター先発を経験。今シーズンも攻守で柱となり、オールWNBAセカンドチームにリストアップされた。コート外では、2026年にNWSLへ参入する女子サッカークラブ、ボストン・レガシーFCの投資家グループに参加し、アスリート・アドバイザリーボードの一員としても活動。WNBAレジェンドのキャンデース・パーカーとともにポッドキャスト番組「Post Moves」のホストを務めるなど、スタープレーヤーから一歩踏み出した新世代のロールモデル像を示している。

 ビューカーズは、NCAAW制覇からWNBA入りまでの1年で評価を決定づけた。コネチカット大学を2025年の優勝へ導き、そのままドラフト全体1位でウィングスに入団。ルーキーながら平均2ケタ得点とゲームメイクを両立し、今季はWNBA新人王とオールスター選出を果たした。女性選手主導の3×3リーグ「Unrivaled」への出資やエクイティ獲得に加え、フードデリバリーサービス「DoorDash」初のアスリート・クリエイティブディレクターとして企画に携わり、「Apple Original Films」制作の映画『Jess & Pearl』では主演兼エグゼクティブプロデューサーとして名前が挙がっている。

 NBAからも納得の2人が選出された。サンダーのエースは2024-25シーズンに平均32.7得点で得点王を獲得し、シーズンMVP、ファイナルMVP、得点王を同時受賞した史上4人目の選手となった。サンダーをフランチャイズ記録の68勝と初優勝へ導いたシーズンは、紛れもなく“SGAの年”だった。オフには総額2億8500万ドル、4年のスーパーマックス延長契約で史上最高額の年俸記録を更新。コンバースではクリエイティブディレクターとして自身初のシグネチャーシューズ『SHAI 001』をデザインし、ゲーム『NBA 2K26』の表紙も飾るなど、ブランド価値はコートの外でも急上昇中だ。

 ウェンバンヤマは、“逸材”と言われた期待値を数字とインパクトで上回り続けている。ブロックでリーグをリードし新人王を受賞。守備では最優秀守備選手賞の投票2位、史上初のルーキーでオールディフェンシブ1stチーム入りと、攻守両面で稀有な存在となった。2年目は肩の深部静脈血栓症で離脱しながらもオールスターに選出。スポーツドリンク「Barcode」への投資や、スパーズ本拠地にヨーロッパサッカー場のような熱狂的ファンセクションを新設する構想を主導するなど、クラブ文化そのものを変えようとしている。

 今回の選出を通じて浮かび上がるのは、バスケットボール選手像のアップデートだ。4人に共通するのは、コート上でタイトルや個人賞を争う一方で、オーナーシップやエクイティ、クリエイティブディレクション、映像制作など、多様な形でスポーツビジネスの意思決定側に回りつつある点である。「30 Under 30」は、単なる若手スター名鑑ではなく、スポーツ産業の次の10年を形づくる未来予想図なのだ。

文=Meiji

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