1軍出場は自己最少の12試合、プロ入り後初減俸で来季年俸1900万円 ドラフト1位入団で3年目のシーズンを終えた西武・蛭…
1軍出場は自己最少の12試合、プロ入り後初減俸で来季年俸1900万円
ドラフト1位入団で3年目のシーズンを終えた西武・蛭間拓哉外野手が4日、契約更改交渉を行い、500万円減の来季年俸1900万円でサイン。プロ入り初の減俸となった。1軍出場は3年目で自己最少の12試合。「(今季は)さまよっていました。なぜダメなのかも分からなかった。コーチの方々からいろいろ意見をいただきましたが、それをやっても、なかなかよくならなかった。ふがいない1年でした」と悩みは深い。(金額は推定)
そして「ドラフト1位で入らせていただいたのに、この程度の働きしかできていない申し訳なさが、今は一番強いです。やらなきゃいけないということは自覚しています。ファンの皆さんの期待に応えられていない歯がゆさを感じています」と苦しい胸の内を垣間見せた。
埼玉・浦和学院高、早大を経て、2022年ドラフト1位で入団。これまで西武の外野陣は長らく“どんぐりの背比べ”と評されてきたのだが、今季ついに、西川愛也外野手がブレークしゴールデン・グラブ賞に輝いた。プロ1年目にして左翼のレギュラー格にのし上がった渡部聖弥外野手は、来季のサード転向へ向けて練習しているが、一方で球団はDeNAから海外FA権を行使した桑原将志外野手を獲得。長谷川信哉外野手の成長も著しい上、今年のドラフトで3位指名した中京大・秋山俊外野手も即戦力として評判が高い。外野陣の“生存競争”は来季ますます激しくなりそうだ。
そんな中、蛭間もすでに“自己変革”を始めている。「9月から筋肉を肥大させて、骨格筋量を増やすトレーニングを続けています」と明かす。確かに、スーツ姿を通しても筋肉の盛り上がりがうかがえるほどで、「せっかく筋力をつけても、体の使い方ができていないと活かせないので、座学で関節の動き、ボディバランスなどについて学び、動作解析を含めて取り組んでいるところです」とも語った。
来年1月、楽天・鈴木大地に“弟子入り”「野球以外でも学ぶことが多い」
成果は秋季キャンプ中に早くも表れ始めた。打球速度などデータ上の数値が向上し、「球団から『体が変わり、打球も変わってきた』と評価していただきました」とうなずく。さらに年内には、同い年の阪神・森下翔太外野手、2歳下で今季新人王に輝いたロッテ・西川史礁外野手と一緒にトレーニングし、後輩からも貪欲にヒントを吸収していく。
来年1月には、プロ15年目を迎える楽天・鈴木大地内野手の自主トレに初参加する予定で、「かなり厳しいトレーニングだと聞いています」と話し、自然と背筋が伸びた。
「鈴木大地さんは長年プロの世界でやってこられて、技術もそうですが、野球以外でも学ぶべきことが多いと思います」と意図を説明。「本来は自分ひとりで取り組まなくてはいけないのですが、結果が出ていないですから、何かを変えないといけないと思いました」と危機感を露わにした。
蛭間と契約更改交渉を行った広池浩司球団本部長も「シーズン中はいろいろ迷っていましたが、この秋にいいものが見えてきました。体が見るからに大きくなっていますし、練習の段階とはいえ、打球にも結びついています」と評価。「彼は自分のことをいろいろ考える選手なのですが、今年は考え過ぎた部分があったと思います。来季はもう4年目ですし、『芯を一本通して、ぶれない姿をつくることも必要だよ。しっかり固めて、春に戻って来ようね』という話をしました」と付け加えた。
「とにかく結果を残せるように頑張ります」。ドラフト1位入団と言えども、球団が悠長に成長を待ってくれるとは限らない。蛭間にいま求められているものは、そのひと言に尽きる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)