【WRC世界ラリー選手権】第14戦 ラリー・サウジアラビア(11月26日〜29日)【映像】断崖絶壁!狂気のダウンヒル 1…

【WRC世界ラリー選手権】第14戦 ラリー・サウジアラビア(11月26日〜29日)

【映像】断崖絶壁!狂気のダウンヒル

 11月29日まで開催されたWRC(世界ラリー選手権)今季最終戦、ラリー・サウジアラビア。史上初開催となる同大会は、砂漠の軟らかい砂と荒れた岩場が混在する難コースとなり、多くのドライバーがパンクなどのトラブルに見舞われた。サバイバルとなった過酷な一戦だが、それゆえ一流の腕前が光る走りが競技2日目のSS4で捉えられた。

 このSS4「クライス」は、険しい岩山を縫うように走る山岳コース。片側は断崖絶壁となっており、一歩間違えれば崖下へ転落しかねない。コースオフの余地がないセクションだが、トップドライバーたちは“崖っぷちでも全開”という、常人離れした技術と肝っ玉を見せつけた。

 このステージ、好タイムを記録したヒョンデのアドリアン・フルモーのオンボードカメラには、戦慄のシーンが映し出されている。右側が崖となりツイスティなS字コーナーに対し、フルモーは躊躇なくステアリングを切り込む。あろうことか加速しながらクリアしていくそのライン取りは、俯瞰の視点から見ると崖の縁ギリギリ。タイヤ一つ分でも外せば終わりという状況下でステージ2位のタイムを削り出している。

 また、今季限りでのWRCフル参戦休止、およびサーキットレースへの転向を表明し、これが区切りのラストランとなったカッレ・ロバンペラ(トヨタ)の走りも圧巻だ。映し出されたのは、右側にガードレールが一切ない恐怖のダウンヒル。左コーナーへの進入、続いて左側が崖となっている左コーナーでも、イン側(即ち崖スレスレ)のラインを顔色ひとつ変えずに駆け抜けていく。

 実はこのSSで、ロバンペラは左リアタイヤのパンクを喫していた。手負いのマシンでありながら、崖っぷちのラインを冷静沈着に攻め抜くその姿は、まさに「世界最速」の称号にふさわしい超一流の妙技だった。(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2025』)