野球殿堂博物館が4日、来年の野球殿堂入り候補者を発表し、選手としての功績を表彰するプレーヤー表彰で、阪神や米大リーグのカ…

野球殿堂博物館が4日、来年の野球殿堂入り候補者を発表し、選手としての功績を表彰するプレーヤー表彰で、阪神や米大リーグのカブスなどで救援投手として活躍し、プロ野球歴代6位の243セーブを挙げた阪神の藤川球児監督(45)、岩隈久志氏(46)、五十嵐亮太氏(45)の3人が候補に加わった。藤川氏は「火の玉ストレート」を武器に05年のリーグ優勝に貢献するなど一時代を築いた。開票は来年1月15日。就任1年目でリーグVに導いた虎将の得票が注目される。

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「火の玉ストレート」が代名詞の藤川氏が、来年の野球殿堂プレーヤー表彰の候補に入った。20年シーズン限りで現役を引退して5年。新候補者にリストアップされた「投手56人」「野手43人」の計99人から、五十嵐氏、岩隈氏とともに選出された。

ドラフト1位入団の期待株だったが、先行きは見通せなかった。04年オフ、岡田彰布監督から、短いイニングで勝負するタイプと、中継ぎに導かれたことが転機になった。打者の手元で浮き上がる独特の軌道を描くストレートは球界名物になった。

05年は“7回の男”を任されて80試合(7勝1敗1セーブ、46ホールド)に登板、ジェフ・ウィリアムス、久保田と「JFK」と称された無敵の抑えトリオで2年ぶりのリーグ制覇に貢献した。

「火の玉」と命名したのは元の巨人清原和博氏。05年4月21日の東京ドーム、通算500本塁打のかかっていた主砲から空振り三振をフォークで奪うと「ケツの穴小さいわ。チ○ポコついてんのか!」とすごまれた。

だが再戦となった6月25日の甲子園で、ストレートで空振り三振を取った。翌06年のオールスター戦(宮崎)でも、清原(オリックス)にオール直球を挑んで空振り三振に仕留めた。

清原氏に「一番すごい火の玉ボールがきた」と認めさせた。のちに本人も「清原さんに育ててもらった気がします」と語っている。直球に狙いを定めても打ち返せない火の玉ストレート。その最大の武器磨きをかける努力の必要性に気づかされた対決は、野球人生の源流といえる。

「自信をもってストレートで勝負できる投手にならなければと思いました」。三振にこだわる姿はファンを魅了した。771回2/3での通算1000奪三振はNPB史上最速。日米通算1252個の三振を積み上げ、259セーブを稼いだ。2度ずつ取った最優秀中継ぎ(05年、06年)と最多セーブ(07年、11年)で一時代を築いた。

阪神OB投手の殿堂入りが実現すれば、01年の小山正明以来。監督としても就任初年度にリーグ優勝。虎の黄金期を支える男が、来年1月15日の開票でどこまで票を伸ばすか。【寺尾博和】

◆阪神粟井球団社長(藤川監督の野球殿堂ノミネートに)「大変喜ばしいことですね。(先にノミネートされている岡田顧問と)2人とも殿堂入りとなれば、本当にうれしい。今年はありがたいことに(掛布OB会長の殿堂入り)パーティーも続いていて、うれしい悲鳴です」