大学日本代表候補選手強化合宿が5日、愛媛県松山市内で始まる(5日から7日、愛媛・松山坊っちゃんスタジアム)。1年生ながら…

大学日本代表候補選手強化合宿が5日、愛媛県松山市内で始まる(5日から7日、愛媛・松山坊っちゃんスタジアム)。1年生ながら初選出された桐蔭横浜大の190センチ右腕・古川遼投手(1年=日本学園)は「いろいろなものを吸収できるように、頑張ります」と、気持ちを込めた。

24年ドラフトでソフトバンクから育成ドラフト1位指名を受けたが入団を辞退。あれから1年が経った。桐蔭横浜大に進学し、この1年を振り返り「どの道に進んでも、僕は全力でやるだけ」と、力強く話した。目指すは3年後のドラフトで支配下選手1位で指名されること。この選択を正解にするために、ガムシャラに野球と向き合っている。

確かな成長を実感している。「球速もキレもあがり、高めのボールもフライに打ち取れる。そこは成長です」。メディシンボールやラダーを使ったトレーニングでキレを出す練習を重ねた。神奈川大学野球リーグ春季リーグ戦でデビューし、今年は9試合に登板。1勝1敗で防御率1・88。秋は先発の1人としてチームを支えた。11月8日に行われた青学大との練習試合では中日ドラフト1位の中西聖輝投手(22)と投げ合い、3回1安打1失点。最速は145キロを記録した。

それでも反省は多かった。それは、得意とするフォークの質だった。「中西選手のような球速差のないフォークが投げられるようになりたい。もっと空振りがとれるようにならないと」。中西投手のフォークは140キロを越える。一方の古川は130キロ中盤。ドラフト1位投手との差をまざまざと突きつけられた。「球速も違うし空振りをとれる真っすぐもある。その違いは大きかったです」。まだまだ上がある。学びの日々に「レベルの高い選手と対戦するのは楽しいです」と、心から言える。

悔しさが、古川を突き動かす。「昨年のドラフト前までは育成でも行きたいと思っていました。でも、ドラフトの中継を見ていて、支配下で指名される高卒の選手たちを見て、そこに入れないのが悔しかった。自分もそこを目指していたのに」。今では笑顔で振り返られるあの日。入団を拒否し、選んだ桐蔭横浜大では斉藤博久監督に「長い人生、どの道を選んでも、その人にとって必要な道だから。いい選択にしていこうな」と、声をかけられ再び前を向く原動力に変えた。

昨年ドラフトで育成1位指名だった選手が目指す、支配下1位への道。例えそれは険しくとも、乗り越える自信はある。「3年後は、ドラフト1位でソフトバンク行きたい。恩返しをしたいです」。夢かなえるその日まで、成長の足は止めない。【保坂淑子】